区長所信表明

項目

1 はじめに
2 今後の区政運営について
 ■ あらゆる世代が生涯にわたって成長し輝くまちの実現
 ■ いつまでも健やかに自分らしく暮らせるまちの実現
 ■ 活力にあふれ多彩な魅力が輝くまちの実現
 ■ 誰もが誇りや憧れを抱く安全安心で快適なまちの実現
 ■ 多様な主体と連携した区政運営の推進
3  「補正予算」について
 ■「 子育て・教育・生涯学習」について
 ■「 健康・福祉」について
 ■「 文化・産業・観光」について
 ■「 まちづくり・防災防犯・環境」について
 ■「 行政運営」について
4 おわりに


代表質問の概要

代表質問とは 各会派の代表者が区長提出議案や区長の政治姿勢に対し、質問を行うことです。


台東区議会自由民主党

太田雅久

区政運営について

 1 区長は「躍進台東 新しい台東区」を掲げ、区民福祉の向上に邁進してきたが、この4年間の区政運営における成果について伺う。2 基本構想に掲げた「世界に輝く ひと まち たいとう」の実現に向け、将来に向けた今後の区政運営の基本姿勢について伺う。

 1 中小企業の経営基盤の強化や全国初となる観光バスに関する条例の制定、更に、保育施設の整備等の施策に着実に取り組んできたことで、地域の活力や区民生活の向上が図られるとともに、将来の区政の発展に確実につながるものと認識している。2 新たな長期総合計画と行政計画のもとで、本区の躍進を確かなものとしたいと考えている。誇りと愛着を持ち続けられるまちの実現に向け、全力で取り組んでいく。


江戸ルネサンス事業について

 1 「江戸から学ぶ」連続講座について、昨年度の実績への評価と課題への対応策について伺う。2 江戸ルネサンス事業は、3年間を実施期間としているが、今後どのように展開していくのか。

答 1 定員の4倍を超える応募があり、江戸に対する関心の高さを実感し、江戸に学び、未来を拓くことこそ、本区の未来を支える力であると改めて確信した。今年度は、より収容力のある会場で開催し、更に多くの方に受講していただきたい。また、周知方法の充実等、幅広い年齢層の参加につながるよう努めていく。2 事業の推進に注力するとともに、その成果を検証しながら、今後の展開についても検討していく。


区立学校における働き方改革プランについて

 教育現場がよりよい環境になるよう、昨年策定した区立学校における働き方改革プランについて、学校から家庭や地域へ説明する機会を作り、深く理解してもらうことが大切だと考えるが、どうか。

答 働き方改革プランの策定後、各PTA連合会等に説明するとともに、各学校園でも保護者会等で説明し、理解をいただくよう努めてきた。各学校園が行う取り組みについて、地域等の更なる理解と支援を得られるよう、学校園へ今後も丁寧に説明していくよう指導していく。


学校教育ビジョンについて

 学校教育の基本である学校教育ビジョンの策定にあたり、本区の目指す学校教育について、所見を伺う。

答 変化の激しい社会に子供たちが対応できるよう、質の高い学びの実現に向けた取り組みを充実させていく必要がある。今回の学校教育ビジョンにおいても、まち全体を人が成長するための環境と捉え、豊かな文化や歴史、伝統などを活かすとともに、世界に飛躍し未来を創造する子供たちを育んでいく。今後も、学校、家庭、地域、行政が、ともにその責任と役割を理解し、信頼と支え合いによる学校教育の更なる充実を目指していく。


ラグビーワールドカップについて

 台東区ラグビーフットボール協会では、ラグビーワールドカップ2019日本大会の機運醸成やラグビーの普及のため、区内の小中学校に海外選手を講師として派遣し、ラグビーの体験や英会話による交流を計画している。本区の更なるスポーツ振興のため、区としてもこの事業を多方面から支援すべきと考えるが、所見を伺う。

答 区民を対象としたラグビーの体験会等を実施するなど、大会の機運醸成に努めてきた。引き続き、大会のPR活動等に取り組んでいく。台東区ラグビーフットボール協会の小中学校に対する外国人選手の派遣は、スポーツ振興に有意義であると考えており、積極的に支援していく。


たいとうフロンティア

堀越秀生

財政について

 1 区政2期目のスタートにあたり、どのような思いを込めて補正予算編成を行ったのか。2 中長期的な区政の推進にあたり、今後の財政見通しをどのように捉えているのか。また、安定的な財政運営のため、どのように取り組んでいくのか。3 更なる地方税の国税化等の動きに対して、どのように取り組んでいくのか。

 1 基本構想に掲げる「世界に輝く ひと まち たいとう」の実現に向け、次世代の育成や安全で安心なまちづくり、本区の活力の更なる創出に繋がる事業を計上した。これらの予算執行を着実に進め、区民の誰もが誇りを持ち、安心して暮らし続けることができるまちの実現に向け、全力で取り組んでいく。2 今後も厳しい財政状況が懸念され、本区の財政運営は、依然として予断を許さない状況である。安定的な財政運営に向けて、一層の歳入確保等に取り組むとともに、基金等を慎重かつ有効に活用し、景気変動等に対応していく。3 特別区長会のもと、税制改正に反論するとともに、国の責任において地方税財源の拡充を図るよう強く主張してきた。今後も、様々な機会を捉えて国へ要請していく。


子どもの権利条例について

 社会にはいまだ、子供の人権を無視した犯罪や貧困等の課題が山積しており、子供の人権の普遍的価値を広く区民に伝えていく必要がある。1 子供の権利に関する基本条例として、「子どもの権利条例」を制定すべきと考えるが、どうか。2 本区の教育現場における人権教育の現状について伺う。3 子供の人権を取り巻く現状について、どのように認識しているのか。

 1 児童福祉法等に基づき、子供の権利を第一に、児童福祉施策を進めている。子供の人権に係る条例の制定については、今後、研究していく。2 自分の大切さとともに他の人の大切さを認める人権教育を推進し、その上で人権意識を高める教育を行っている。今後もこれらの人権教育を推進し、自他の人権を尊重できる子供の育成を図っていく。3 児童虐待等への対応件数は増加傾向にあることなどから、更なる対策が必要である。今後、関係機関との連携を強化するとともに、NPO等との協働を更に推進していく。


観光地域づくり「日本版DMO」について

 日本版DMOは、地域の経済効果を高めるとともに地域への愛着を醸成する観光における経営的要素に重点を置いた観光振興組織である。本区の観光が持続的に発展していくためには、日本版DMOの仕組みを取り入れた観光振興組織の設立等、より進んだ観光振興に取り組むべきである。1 日本版DMO等の新たな観光推進組織による観光振興について、どのように考えるか。2 本区で日本版DMOを設立する場合、どのような課題があるか。3 日本版DMOを活用している地域との情報交換等により、新たな観光振興に対する機運を区民等に広めていく必要があると考えるが、どうか。

 1 本区の観光の持続的な発展に向け、観光関係団体等を結び付ける新たな組織を設立し、一元的な情報発信等の取り組みを、より強力かつ一体的に推進していきたい。2 国の検討会では、専門人材や安定的な財源の確保等が課題とされており、本区も同様であると認識している。3 有識者等による検討委員会を設置し、行政との役割分担等について議論を深めるとともに、その意義や必要性について広く周知し、機運醸成に努めていく。


台東区議会公明党

小坂義久

区政運営について

 1 様々な行政需要がある中で、重要視している行政課題は何か。また、課題解決に向け、どのような対策をするのか。2 東京2020大会等の開催に伴う来街者の増加により、今後様々な諸問題が発生すると思われる。宿泊や交通、生活環境対策等において、更なる対応が求められると考えるが、所見を伺う。

 1 子育て支援や自然災害への備えなど、重要な行政課題が多岐にわたっている。これらの課題解決に向けた取り組みを着実に進め、区の将来像の実現を図るため、新たな長期総合計画を策定した。また、その具体化を図るため、重点的、優先的に取り組む事業を行政計画に定めている。今後はこれらの計画のもと、本区の一層の発展に向け邁進していく。2 地域の意見も伺いながら、これまでの取り組みを一層充実させていく。併せて、多様な文化・習慣を持つ外国人旅行者それぞれにあった情報発信を行うなど、住む人も訪れる人も快適に過ごせる環境の更なる整備に努めていく。


交通安全対策について

 高齢者が運転する車の事故や子供を巻き込む事故が多発しており、区民や子供の安全・安心を守るために早急な対応が必要である。1 高齢者をはじめとした区民に対するこれまでの交通安全対策について、所見を伺う。2 子供の交通安全対策について、所見を伺う。

 1 現在、めぐりんの実証実験において、通院等の利便性向上に取り組んでおり、今後も高齢者の移動支援の充実を一層図っていく。また、区道上で交通事故の多い場所において、要因等の調査を実施している。今後は結果を踏まえ、関係部署や国等の関係機関と連携し、安全・安心な交通環境の整備に努めていく。2 随時、通学路点検を行い、交通規制等を実施している。更に、学校安全ボランティア等による見守りなど、様々な安全対策に取り組んでいる。また、今般の事故を受け、学校安全計画等について再点検を行うとともに、通学等の経路における交通環境の改善を図るため、調査を実施している。今後、結果を関係機関等と共有することにより、更なる安全対策の強化を図っていく。


「希望ある幸齢社会」について

 1 高齢化率が高まる中、健康寿命の延伸を図ることが重要である。その上で、労働に限らず、ボランティア等を通して社会と関わり、支え合いの社会づくりに貢献できる期間である、活動寿命の延伸に取り組むべきではないか。2 単身者の増加に伴う社会的孤立の増加が懸念される中、孤立を防ぐ社会的な基盤である地域包括ケアシステムの取り組みについて、普及啓発を行うべきではないか。3 幸齢社会の実現には、認知症施策の充実が急務であるが、今後の展開について、所見を伺う。

 1 高齢者が健康で自立した生活を営み、知識等を活かして意欲的に活動できる社会の実現は大変重要であり、活動寿命という提案は貴重なものと考える。今後とも誰もが生きがいを持って活躍し、自分らしい生活を営める環境の創出等に取り組んでいく。2 地域包括ケアシステムの取り組みへの理解は大変重要なことであるため、今後ともイベント等、様々な機会を捉えて周知に努めていく。3 認知症サポーターが正しい理解を広めていく取り組み等を着実に進めていく。更に、国の認知症対策の大綱の作業状況を注視しながら、新たな取り組みを検討し、次期台東区高齢者保健福祉計画へ反映していく。


つなぐプロジェクト

早川太郎

区財政について

 今年度予算総額は、1,014億円となり、区政史上最高額となっている。しかし、法人事業税の一部国税化やふるさと納税の影響による減収、子育て支援対策や区有施設の維持管理等による経費の増大等が見込まれており、必要な行政サービスを維持・推進していくためには課題が多い。今後の本区の厳しい財政状況を鑑みれば、将来を見据えた対処策を検討していくことが重要であり、行財政基盤の強化に向けた取り組みを推進すべきと考えるが、区財政についての認識と今後の対応について、所見を伺う。

 不合理な税制改正等による減収の影響や、様々な行政需要への対応による財政負担により、財政運営は予断を許さない状況である。このような状況の中、区民サービスの向上を図るため、行財政基盤の強化に向けた取り組みの推進が重要である。そのため、債権の適正な管理や新たな収入確保策などの検討を進めるとともに、RPAの導入等による業務効率化を図っていく。また、財政需要の増加などによる財源不足に備え、基金を積み立てるとともに、起債を慎重かつ有効に活用し、健全な財政運営を推進していく。


協働について

 区政運営のパートナーである町会やPTA等の団体は、時代の変化により協働の土壌が弱まってきている。このような現状を看過せず、協働が機能していくよう対応策を検討すべき時期に来ている。また、まちづくりや産業等の政策においても、協働のパートナーを育んでいく視点を持って、施策を展開していく必要があると考える。そこで、基本構想及び長期総合計画における協働の位置付けと今後の対応について、所見を伺う。

 基本構想においては、区政運営の基盤となる考え方である多様な主体と連携した区政運営の推進の中で、パートナーシップの促進を位置付け、区民や町会、NPOなどとともに、地域の活性化や課題解決に取り組んでいくこととしている。長期総合計画においても、協働の促進等を施策として定め、パートナーシップの促進に向けた取り組みを示している。区民に対する協働意識の醸成等により、多様な主体との協働を推進し、更に地域の課題解決に取り組む団体相互の連携の促進等により、地域の活性化などを図っていく。

 

ICT教育について

 中央教育審議会では、世界最速級の通信インフラを希望する全ての初等中等教育で利用できる環境の整備を進めるとしている。ICT教育の方向性が大きく転換されようとしている中、本区においても一刻も早くICT教育推進のための方針を決め、環境整備を図っていかなくてはならない。新学習指導要領の全面実施時期を見据え、今後のICT教育をどのように進めていくのか。

 社会の急速な情報化が進む中、情報活用能力の育成にはICT教育の推進が重要である。本区では小中学校3校をモデル校として指定し、実践研究を進めている。モデル校の実践においては、タブレットパソコンを教員が活用するとともに、子供たちも使いこなすことで、主体的に考え、また互いに考え方を共有するなど、主体的、対話的な学びをしている。今後も、モデル校における教育実践から得た知見に基づき、ICT教育環境の全校整備を見据えながら、教員の指導力向上に力を注ぐことで、子供たちの情報活用能力の育成を図るICT教育の推進を目指していく。


日本共産党台東区議団

秋間洋

区民生活への認識について

 1 内閣府発表の4月の景気動向指数は2か月連続の悪化となっているが、区長は依然として国の経済政策を評価するのか。区民生活についての認識と併せて伺う。2 今回の補正予算には、区民生活を守るために区が独自に決意をもって行う事業がほとんど見当たらないが、区政の基本的な役割は区民生活の支援であるという区長の政治姿勢はどのように反映されたのか。3 本年10月からの消費税増税について、(ア)区民等にとってどれほどの痛みになると考えているか。(イ)区独自の対策を講じるつもりはないのか。(ウ)増税中止を国に進言することを求めるが、どうか。

 1 区民生活は依然として厳しい状況にあるとの認識のもと、引き続き区民生活等を支援するため、様々な施策を展開していく。国の経済政策は、今後も動向を注視していく。2 次世代の育成等につながる事業等を計上した。区民が安心して暮らせることを第一に考え、今後も区民生活の支援に積極的に財源配分を行っていく。3 (ア)少なからず影響を及ぼすものと認識している。(イ) 軽減税率について、中小事業者向けのセミナー等により周知を図っており、引き続き、相談支援を充実していく。(ウ)国への申し入れは考えていない。


安倍政権の改憲への姿勢について

 1 以前の代表質問で区長に対し、同じ行政の長として、首相に改憲を議会に働きかけるべきではないと進言すべきと質問したが、改めて伺う。2 緊急事態条項について、区長は以前、議論の推移を注意深く見守っていくと容認したが、地方自治を破壊するこの条項について、憲法に加えることを現在も支持するのか。3 区長は、9条改憲案について反対する意思はないと表明してきたが、現在の見解を伺う。

 1 憲法改正は、憲法の規定に基づき、国民の承認を得る手続きにより進められるもので、私が伝えるものではないと考えている。2 法の制定を待ついとまがない大規模災害時に、政府が国民の生命等を保護するため政令を制定できるとした条文案と認識している。3 今後、国会で議論を深めていくものと考えており、区民の生命及び財産を守る自治体の長として、引き続き、議論の推移を注意深く見守っていく。


まちづくりへの基本姿勢について

 都市計画マスタープランに掲げる土地利用方針では、言問通り以南の大半を都市型複合市街地とし、中高層の建物の立地を誘導するとしているが、これ以上のマンション等の建設により、地域コミュニティが壊れ、区民の安全・安心が脅かされることに危機感が広がっている。この方針は撤回すべきではないか。また、現在居住している人が住み続けられるまちづくり施策を展開すべきではないか。

 地域特性を活かし多様な人々が暮らし活動し続けられるよう、複合かつ多様な土地利用を誘導するという方針に基づき、都市型複合市街地に主に中高層の建物の立地を誘導し、生活・住環境の向上を図っていく。また、多様な人々が共生できる生活・住環境を形成できるよう、今後も愛着を持って安心して住み続けられるまちづくりを推進していく。


区議会への姿勢について

 区長は、議案を議会に諮るとともに、法に基づいた執行が行われているか議会からチェックを受ける必要がある。すべての議会への出席を大原則にすべきではないか。

 区議会の各委員会への出席については、これまでの慣例に従い、可能な限り出席していく。