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彫金

更新:2010年10月29日

野澤正次
平成4年度指定(同6年認定解除)

 彫金は、近世に彫りの技術が洗練され、明治時代以降、政府の奨励により多くの優秀な工芸作家が現れました。
 彫金の線の技法には、基本的な線彫り・毛彫けぼりののち、たがねで線に沿って軽く持ち上げる蹴上彫けあげぼりがあります。この技法は、野澤正次氏とそのご子息忠義氏が開発した技法です。
 野澤正次氏は、明治41年4月25日、水戸市で生まれ、大正11年上京しました。師として仰いだのは、東京美術学校(今の東京芸術大学)で学び、日展審査員・伝統工芸会理事を努めた介川芳秀すけがわほうしゅうでした。正次氏は、昭和2年谷中初音はつね町に、同7年現在地に移り、彫金の技術を磨きました。
 戦時中は、ジェラルミンの小物を作り、戦後すぐは、燭台しょくだいやワイングラスなど、外国人が持ち込む土産用の銀製品に彫金を施していました。
 その後は銀器に文字や簡単な文様を彫り、小売店に納め、扱う品は、祝儀・贈答用の銀食器や花瓶・優勝カップなどで、仕事のかたわら、銅額を素材として作家活動を行っていました。
 職人が大幅に減少、制作工程が変化し、伝統的な彫金技術が忘れ去られようとしている現状で、野澤さんは、師の介川芳秀のもとで伝統的な彫金の技術を学び、体得した数少ない彫金師でした。特に、蹴上彫りの技法を用いた作品は、点が並び、下に描いた線が見た目にはわからない見事なものです。

 野澤正次さんは、平成6年10月21日、お亡くなりになりました。ご冥福をお祈り申し上げます。

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