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絹本着色仏涅槃図

更新:2010年11月3日

長寿院
平成3年度指定

仏涅槃図は、釈迦の入滅にゅうめつ(亡くなること)に際し、弟子や鳥獣が泣き悲しむさまを描いたものです。平安時代以降、多くの作例が遺されていますが、図柄はおよそふたつの系統に分けることができます。ひとつは、釈迦が手足を伸ばして横たわり、構図を足元の方からとらえたもの。鳥獣の数は、あまり多くありません。もうひとつは、釈迦が右手を枕にし、足をやや曲げて横たわり、頭の方から構図をとらえたもので、弟子や鳥獣を非常に多く描いています。

本図は縦176.6センチメートル、横150.2センチメートル。図柄は、後者の作例のひとつ。弟子たちの悲しみの表情がきわめて写実的に描かれ、動物の種類が多いなど、鎌倉時代末期から南北朝時代の特徴が見られます。裏面の江戸時代に記された銘文によれば、元弘元年(1331)に助法橋尊有すけのほっきょうそんゆうという絵師が描いたとあり、ほぼこの頃の作と思われます。

尊有については明らかでありませんが、本図の画風が南都絵所なんとえどころという絵師集団の作品に似ている点が注目されます。南都絵所は鎌倉時代から室町時代にかけて、奈良東大寺や興福寺に工房を構えた絵師たちの総称で、主に仏教絵画の制作を行っていました。さらに、南都絵所に所属する絵師たちの多くが「尊」「有」の字を名に用いているおり、これらのことから「尊有」も南都絵所の絵師であった可能性が考えられます。

本図は平成3年2月に文化財台帳に登載されましたが、制作が優秀で、中世の絵画史を考える上できわめて貴重な遺品であることから、翌年3月に指定文化財となりました。

絹本着色仏涅槃図
絹本着色仏涅槃図

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