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銅造菩薩立像

ページID:383682942

更新日:2024年2月19日

保元寺
平成9年登載

 この仏像は、総高45.1センチメートル。台座に銘文が刻まれていて、それにより朝鮮半島にあった高麗という国で、969年か、あるいは1029年に造られたものであることがわかります。
 高麗国は、918年から1392年まで存在した朝鮮半島の王朝国家です。
 仏教を大いに奨励したため、典籍や仏像等、さまざまなジャンルの仏教文化が盛んとなり、この仏像もそうした高麗仏教文化の遺物のひとつです。
 さて、この像は何を表したものなのでしょうか。頭に載せた冠のほか、各所に飾りを付け、右手で蓮華を持つ姿は観音菩薩に似ていますが、銘文には「海月光大明菩薩」という、あまり聞き慣れない名が刻んであります。この「海月光大明菩薩」は、『大方広仏華厳経だいほうこうぶつけごんきょう』という経典に登場する菩薩ですので、この仏像は大方広仏華厳経をもとに制作されたもののようです。しかし、観音菩薩や地蔵菩薩のように明瞭な個性をもつのではなく、多くの菩薩の中のひとつという存在だったようで、文化財としての名称は単に菩薩立像といたしました。
 ところで、『大方広仏華厳経』は略して『華厳経』といい、中国・朝鮮半島はもちろん、日本にも伝来しました。たとえば奈良の東大寺は、この経典を重んじる華厳宗という宗派に属し、有名な大仏もこの経典にもとづいて造像されたもので、その意味では東大寺大仏と本像は遠い親戚のような関係といえるかもしれません。
 本像は高麗仏としての美しさとともに、『華厳経』にもとづく仏像としても貴重な遺品です。


銅造菩薩立像

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生涯学習課文化財担当(生涯学習センター)

電話:03-5246-5828

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