吉徳これくしょん（五月人形）

株式会社吉徳
令和二年三月登載

　「吉徳これくしょん」は、正徳元年（一七一一）創業の株式会社吉徳が所有するコレクションです。人形・玩具のほか、絵画・文献など、多様な資料からなり、五月人形はそのうちの一部です。
　本コレクションは、人形業界の重鎮であるとともに、人形玩具研究の第一人者であった吉徳十世山田徳兵衛（一八九六～一九八三）が、昭和初期から研究資料として収集した品々を母胎としています。資料は同氏の研究・執筆に活用され、『日本人形史』など多数の著書で紹介されてきました。
　昭和五十五年には、資料の保存と活用のため、社内に吉徳資料室が開設され、資料は「吉徳これくしょん」と命名されました。
　主要な資料を紹介した書籍に、次のものがあります。
『吉徳これくしょん　雛人形・五月人形・羽子板』（東京堂出版、一九八三年）
『吉徳これくしょん　日本の人形』（東京堂出版、一九八五年）
『図説日本の人形史』（東京堂出版、一九九一年）
『日本の人形　吉徳これくしょん名品集』（吉徳資料室、二〇一一年）
　平成二十六年には社屋新築を機に、展示室が設けられました。吉徳資料室は資料の保管・展示・貸出をおこない、各種レファレンスや資料調査に対応しています。
　本コレクションは、既に人形玩具研究の基本的な資料として公共の価値を有しており、今後も永く保存と活用が望まれる資料群です。平成二十七年度から、和書五八一件、一枚刷二三七件、芝居番付類（一枚刷）八〇〇件、古文書五〇件、羽子板二二七件が台東区有形民俗文化財に登載されています。
　今回登載された五月人形九六件は、江戸時代以後に製作された各種の五月人形や、その関連資料からなっています。