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平成28年第1回区議会定例会区長所信表明

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更新日:2016年8月16日

はじめに

 平成28年第1回区議会定例会の開会に当たり、私の区政運営に対する所信を申し述べ、区議会及び区民の皆様のご理解、ご協力を賜りたいと存じます。
 国は、少子高齢化という長年の懸案に歯止めをかけるため、「戦後最大のGDP600兆円」、「希望出生率1.8」、「介護離職ゼロ」という大きな目標を掲げ、「希望を生み出す強い経済」、「夢をつむぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」から成る「新・3本の矢」による、一億総活躍社会の実現に向け、新たな挑戦を始めています。
 本区にとりましても、少子高齢社会の進行や経済の急速なグローバル化など、大きく変化する社会経済情勢に的確に対応していくことが求められています。
 特に、地域経済を支える区内中小企業の経営環境は厳しく、依然として先行きが不透明な状況にあります。
 こうした中にあっても、台東区が50年後、100年後も、燦然と輝く都市であり続けるためには、前例にとらわれない斬新な発想で優れた施策を展開し、山積する課題に積極果敢に挑戦していくことが必要であります。
 そのために、区長就任後、私が直ちに取り組んだ、産業振興のためのビジネス支援ネットワークの構築や、観光振興のためのハラール認証取得助成といった先駆的な取り組みは、まさに「躍進台東 新しい台東区」の実現に向けた第一歩であります。
 本区が飛躍的な発展を遂げるためには、こうした取り組みを、今後もさらに力強く推し進めていかなければなりません。
 さて、本年7月には、いよいよ国立西洋美術館の世界遺産登録の可否が決定されます。登録が実現すれば、東京で初めての世界文化遺産となり、国際文化観光都市である本区の魅力をより一層強く、世界に発信できると確信しています。
 さらに、オリンピック・パラリンピック競技大会は、世界最大のスポーツ・文化の祭典であり、2020年東京大会は、本区が大きく飛躍するための千載一遇のチャンスであることは言うまでもありません。
 私たちはこの機を捉え、一丸となって、本区の新たな未来を切り拓いていかなければなりません。
 私は、オリンピック・パラリンピック・レガシーにつながる創造の種を蒔き、これからの台東区を彩る大輪の華へと成長させて、後世に継承してまいります。
 2020年東京大会まであと4年。私たちに立ち止まっている時間はありません。
 東京を「世界一の都市」へと牽引していくのは台東区であるという確固たる信念のもと、本年も引き続き、全力で区政に邁進してまいりますので、皆様方のご協力をよろしくお願い申し上げます。

花の心プロジェクトについて

 それでは、まず、「花の心プロジェクト」について申し上げます。
 私たちが古くから親しんできた花は、いつの時代も人の心を豊かにし、安らぎとゆとり、希望と勇気をもたらします。
 そして、大切に花を育て、愛でる心から、私たちは愛情や思いやり、生命の尊さを学んでまいりました。
 私は、花が持つこうした力で、子供達をはじめ多くの区民の心を、豊かにしたいと考えています。
 そこで、「花の心プロジェクト」を立ち上げ、まず、本年4月に「花の心 たいとう宣言」を行います。
 この宣言は、全ての区民が、花を慈しむ心とおもてなしの心を育み、心豊かで、うるおいのあるまちを目指すことを願うものであります。
 さらに今後は、国や東京都と連携を図りながら、記念式典や関連イベント、まちなかの花壇の充実など、区民・団体・企業が区と一体となって、まち全体に四季折々の美しい花を広げる取り組みを進めてまいります。

台東区観光振興計画について

 次に、「台東区観光振興計画」について申し上げます。
 台東区新観光ビジョンの策定から5年が経過し、この間、2020年東京大会の開催決定、北陸新幹線や上野東京ラインの開業など、本区の観光を取り巻く環境は大きく変化しています。外国人を含めた本区の年間観光客数は、4,500万人を超え着実に増加をしています。私は、観光振興の積極的な取り組みを通じて地域経済を活性化し、区民生活の向上につなげていくことが重要であると考えています。
 そこで、このような変化を踏まえ、2020年までに取り組むべき具体的な観光施策を盛り込んだ「台東区観光振興計画」を3月に策定します。
 本計画では、観光客のためのWi-Fi環境やムスリム旅行者の受入環境の整備、観光バス駐車対策や浅草文化観光センターの観光案内機能の強化など、2020年東京大会に向けて、区が一丸となって優先的に実施する必要がある取り組みをお示ししています。
 私は、大会後のレガシーを見据えた本計画の取り組みを通じて、全ての観光客が満足し、区民が愛着や誇りを、より一層持てる観光地を目指してまいります。

台東区人口ビジョン・総合戦略について

 次に、「台東区人口ビジョン・総合戦略」について申し上げます。人口減少や少子高齢化が進行するなか、国は、将来にわたって、活力ある社会を維持していくために、地方創生の実現に総力を挙げて取り組んでいます。
 また、国の総合戦略では、「東京一極集中の是正」を目標として掲げていますが、東京と地方は対立構造にあるわけではありません。
 国全体の活力を維持していくためには、東京も地方も共に成長・発展し、共存・共栄を図っていくことが必要であります。
 このような認識のもと、本区においても、人口の現状分析から将来を展望した「台東区人口ビジョン・総合戦略」を3月に策定し、子育て・産業・観光など様々な分野で、今後5年間の取り組みを進めてまいります。
 本戦略では、安心して子供を生み育てられる環境の整備や、地域の活力を支える地域産業の振興のほか、日本を代表する国際的な交流の拠点にふさわしいまち「国際文化観光・交流都市」の形成などを目標として掲げ、人口減少や少子高齢化に的確な対応策を講じ、将来にわたり活力ある地域社会を維持・発展させるために、必要な施策を盛り込んでいます。 
 私は、本戦略に掲げる取り組みを通じて、地方とともに躍進する台東区の実現を目指してまいります。

平成28年度予算案について

 次に、平成28年度予算案について申し上げます。
 国の経済見通しは「緊急対策」などにより、雇用・所得環境が引き続き改善し、好循環がさらに進展するとともに、「堅調な民需に支えられた景気回復が見込まれる」としています。ただし、「新興国などの景気の下振れなどに留意する必要がある」との認識もあわせて示しています。
 区の財政状況は、歳入では、特別区税の4年連続の増や、特別区交付金の増を見込むものの、国が法人住民税の国税化を実施し、さらなる国税化も行うこととしており、そのマイナスの影響を懸念しています。
 一方、歳出においては、高齢者・障害者サービス需要への対応や年少人口の増加による子育て支援の拡充、低所得者への支援、区有施設の老朽化への対応など、様々な行政需要による財政負担の増加が見込まれ、予断を許さない状況であります。
 平成28年度予算編成にあたっては、「予算編成方針会議」を開催し、全庁的な意識の共有化を経て、必要な取り組みに対して重点的に予算配分を行いました。
 それでは、私の区政運営における5つの考え方に基づく、主な取り組みについて申し上げます。

元気な地域産業と商店街の創造に向けた取り組み

 まず、元気な地域産業と商店街の創造に向けた取り組みについて申し上げます。
 私にとって、産業の活性化は区政における重要課題であり、元気な地域産業と商店街の振興なくして、本区の躍進は実現しません。
 そのため、区内産業を活性化させるための取り組みとして、本年7月に「台東区産業フェア」を開催します。これにより、ものづくりのまち台東区ブランドを広く国内外に発信するとともに、経営状況の改善や販路開拓などに取り組もうとする意欲的な事業者を支援してまいります。
 また、国は、世界で一番ビジネスがしやすい環境の整備を目標とする国家戦略特区の取り組みを進めています。この国家戦略特区における道路法の特例の活用を目指し、六区ブロードウェイにおいて、地元商店街が実施するオープンカフェ社会実験を支援し、規制緩和による道路空間の有効活用や一層の賑わいの創出を図ってまいります。
 さらに、少子高齢化が進行するなか、本区の持続的な発展に向けて、女性も男性も子育てや介護などを行いながら、安心して働くことができる環境を整えていくことが必要です。
 そこで、「ワーク・ライフ・バランス推進企業認定制度」を実施し、働きやすい職場づくりやワーク・ライフ・バランスに取り組む企業を支援してまいります。

快適で安全・安心なまちの創造に向けた取り組み

 次に、快適で安全・安心なまちの創造に向けた取り組みについて申し上げます。
 まず、災害対策についてです。
 今後30年以内に、70%の確率で首都直下地震が起こると予測されています。私の最大の責務は、区民の皆様の生命と財産を守ることであり、今後も自助・共助・公助の取り組みを充実させ、効果的に連携させていく必要があります。
 そこで、防災情報収集用高所カメラを増設し、災害時における本区の情報収集能力の強化を図るほか、緊急時に正確な情報を迅速かつ確実に発信するための防災行政無線のデジタル化を進めてまいります。
 また、通電火災の発生抑制に高い効果がある感震ブレーカーの設置助成を、木造住宅密集地域を対象に行うほか、集合住宅における防災資器材の整備について助成をするなど、地域の総合的な防災力の強化に向けた取り組みを促進してまいります。
 次に、まちづくりについてです。
 東京都は、2020年東京大会の会場や主要な観光地の周辺において、自転車がより安全に走行できるよう、自転車走行空間の整備に取り組んでいます。本区においても、左衛門橋通り及び親疎通りにおいて自転車走行空間の整備を進め、都と一体となって、区民の方々が自転車を安全に利用できる環境づくりに取り組んでまいります。
 また、都は「水の都・東京」を甦らせるために、水辺空間の魅力向上への取り組みも進めており、本区においても水辺の活性化を図る好機であります。
 そこで、浅草東参道二天門防災船着場を一般の船舶の利用に開放し、舟運の活性化に取り組むことで、隅田川に一層の賑わいを創出してまいります。
 さらに、観光客の増加に伴い、本区への観光バスの乗り入れが増加していることから、安全な生活環境や観光バスの受入環境を整備することが急務となっています。
 そこで、まずは、乗降場・駐車場利用の事前予約など、観光バスをコントロールするためのシステムを導入し、安全で快適な交通環境の整備に向けて取り組んでまいります。

人情あふれる福祉と健やかな暮らしの創造に向けた取り組み

 次に、人情あふれる福祉と健やかな暮らしの創造に向けた取り組みについて申し上げます。
 団塊の世代が75歳以上となる2025年を目標に、要介護状態となっても、住み慣れた地域でいつまでも自分らしく暮らし続けられるよう、住まい・医療・介護などの各サービスが一体的に提供できる地域包括ケアシステムの構築が求められています。
 本区においても、今後、後期高齢者の割合や要介護認定者が年々増加していくことが予測されており、こうした取り組みを一層進めていくことが必要であります。
 そこで、区内7か所で運営している地域包括支援センターの機能強化を図るために、各センターの統括・調整機能をもった「機能強化型地域包括支援センター」を庁舎内に設置いたします。また、特別養護老人ホームの整備を促進していくため、民間事業者に対し施設整備費用を助成します。
 こうした取り組みを通じて、地域包括ケアシステムの構築を進めてまいります。
 一方で、2020年パラリンピック開催決定により、障害者スポーツへの関心が高まっています。
 そこで、パラリンピック種目でもあるブラインドサッカーやシッティングバレーボールなどの体験会のほか、障害者のための水泳教室を実施し、障害者スポーツの普及促進に努めてまいります。
 さらに、ホテルや飲食店などの事業者に対して、心のバリアフリー講習会を実施し、障害のある人もない人も互いに認め合い、支え合いながら暮らす地域づくりに取り組んでまいります。

家庭の絆を大切に、子供の豊かな未来の創造に向けた取り組み

 次に、家庭の絆を大切に、子供の豊かな未来の創造に向けた取り組みについて申し上げます。
 まず、子育て支援についてです。
 近年の共働き世帯や就学前児童人口の増加などにより、保育需要はこれまで以上に高まっています。そこで、認定こども園や認可保育所などの整備により、引き続き待機児童対策に取り組んでまいります。
 また、認証保育所を利用される方への保育料の補助上限額の引き上げや、ベビーシッターの派遣による病児・病後児保育サービスの利用料の一部助成などにより、子育て世帯の経済的負担の軽減を図り、子育て支援を充実してまいります。
 さらに、多様化する保育ニーズに適切に対応していくために、預かり保育を実施する私立幼稚園への支援を充実させるほか、保育の質のさらなる向上に向けて、職員のキャリアアップを図る区内保育事業者の取り組みを支援してまいります。
 加えて、核家族化や地域のつながりの希薄化などにより、周囲に相談相手がいないため、妊娠・出産・子育てに関し不安を抱える妊産婦が増えています。
 そこで、保健師をはじめとした専門の職員が、妊婦に対して面談を行うなど、妊娠期からの切れ目のない支援を行い、安心して子育てできる環境づくりに取り組んでまいります。
 次に、教育についてです。
 まず、全ての小学校の体育館に、順次、エアコンを整備し、児童のスポーツ活動時の熱中症予防などの教育環境及び災害時の避難所機能の向上を図ってまいります。
 一方で、子供の問題行動や不登校は、学校や家庭、地域社会などでの様々な要因が複雑に絡み合っています。このため、学校だけでは解決が困難な問題については、関係機関と積極的に連携した対応が求められます。
 そこで、スクールソーシャルワーカーを教育支援館に配置いたします。これにより、学校と家庭、関係機関をつなぎ、子供達への支援体制を強化することで、いじめ、不登校、暴力行為、児童虐待などの早期解決を図ってまいります。
 また、経済的事情などにより、十分な学習機会を得ることができない中学校の生徒を対象として、基礎学力の定着や進路実現のための学力向上を目的とした講座を実施し、さらなる学習環境の向上を図ってまいります。
 さらに、高等学校進学に向けた学習塾や受験に係る費用への助成を充実して、生活保護受給世帯に対する支援を強化してまいります。

歴史と文化が薫る、魅力ある国際文化観光都市の創造に向けた取り組み

 次に、歴史と文化が薫る、魅力ある国際文化観光都市の創造に向けた取り組みについて申し上げます。
 国や地方自治体などによる積極的なインバウンドの推進により、日本を訪れた外国人旅行者は、昨年1,970万人を超えました。本区においても、外国人観光客は526万人と、過去最高を記録しています。
 観光は、旅行業を中心として、小売業、宿泊業、飲食業など、幅広い産業に関連する、非常に裾野の広い総合産業であります。本区において、観光がもたらす経済波及効果をさらに高めるため、海外向けの英語版観光情報サイトの新たな開設や、東南アジアからの訪日旅行者を取り込むために、特に来訪者の多い国の母国語として、タイ語、インドネシア語のフェイスブックページを開設いたします。
 そのほか、海外からの宿泊客が多いホテルのコンシェルジュに対して、茶道や着物の着付けといった、区内で楽しめる日本文化体験を紹介するガイドツアーを実施し、本区への誘客に一層取り組んでまいります。
 次に「台東区コレクション展」についてです。
 本区では、これまで30年以上にわたって、東京藝術大学学生の卒業制作や同大学大学院生の修了制作を収蔵しています。
 これらの作品は、現在、第一線で活躍されている芸術家の原点とも言えるもので、本区が誇るべき貴重な文化資源であります。
 そこで、これらの作品の中から「法隆寺金堂壁画」及び「敦煌莫高窟壁画とんこうばっこうくつへきが」の模写作品や台東区長賞作品、並びに書道博物館で所蔵する法隆寺伝来の仏教美術、中国・敦煌出土の書とんこうしゅつどのしょなどを一堂に集めて展示する「台東区コレクション展」を、東京藝術大学大学美術館において開催いたします。本区の芸術文化の魅力を広く発信し、区民の皆様をはじめ多くの方々にご鑑賞いただきたいと思います。

組織改正について

 次に組織改正の主な内容について申し上げます。
 本区を取り巻く環境の変化や山積する諸課題を踏まえ、私の区政に対する思いを効果的・効率的に実現していくために、新たな組織を設置いたします。
 まず、産業施策を一層推進していくため、文化産業観光部に「産業振興担当」を、また、国内外の都市や機関との交流を促進するために、総務部に「国際・都市交流推進室」を設けます。
 さらに、福祉部に「介護予防・地域支援課」を置き、地域包括ケアシステムの構築に向けて、地域支援事業を推進してまいります。
 加えて、教育委員会に、障害者スポーツを含めた区民スポーツのさらなる振興を図るための「スポーツ振興課」や、総合的に児童の放課後の居場所づくりを推進する「放課後対策担当」を設置します。

おわりに

 平成28年度は、私が編成した初めての当初予算のもと、まさに、新しい区政が本格的にスタートします。
 私が掲げる「躍進台東 新しい台東区」を実現するため、私は、この先に待ち受ける様々な課題を一つひとつ克服し、道一筋に強い信念を持って、台東区の未来を切り拓いていく決意であります。
 19万区民の皆様、そしてその代表である区議会議員の皆様には、改めまして、ご理解とご協力のお願いを申し上げ、私の所信といたしたいと存じます。
 なお、本定例会には、「平成28年度東京都台東区一般会計予算」ほか43件の議案を提出しています。よろしくご審議の上、いずれも可決賜りますようお願い申し上げます。
 以上をもって、私の発言を終わらせていただきます。
 ご清聴、有難うございました。

(注 本文は口述筆記ではないため、表現その他若干の相違があります。)

服部区長
服部区長

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