一般質問の概要

一般質問とは 区の仕事全般について、区長等に報告や説明を求めることです。


台東区議会自由民主党

和泉浩司

今後の区政運営について

 新型コロナウイルス感染症の拡大という未曽有の事態の中、区は、区民の生命と健康を守り抜くことや、区民の生活や事業者をしっかり支えることなどを重点的な取り組みに位置づけた区政運営の3つの柱を掲げ、福祉施設の感染症防止対策、融資や経営支援等の事業者支援等、様々な対策を講じながら区政を前に進めてきた。しかし、観光業や宿泊業はコロナ禍で大きな打撃を受けており、国内外からの来街者が以前のように戻ってくる見通しも全く立っていない。このような中、区長は先日の所信表明で、安全安心な暮らしの確保を基本とした上で、「まちの活力を取り戻し、持続的な発展につなげる」という4つ目の柱を新たに掲げた。4つ目の柱は、感染症対策をしっかりと講じながら、できるものから事業を進め、収束が期待できる状況を見定めながら観光立区としての活力を取り戻すという区民に向けての意思表示であると理解し、大いに期待している。4つの柱は、コロナ禍やその先の将来においても、区政の重要な柱であると考える。今回の所信表明では、区政運営の長期的指針である長期総合計画の改定についても触れているが、改定の基本的な考え方について、4つの柱との関係も含め、所見を伺う。

 長期総合計画は、基本構想における将来像の実現を図るため、区が取り組むべき11の分野において10年間の施策の方向と指標、取り組みを示した区政運営の長期的指針である。また、今後の区政運営の4つの柱は、健康、福祉、産業、観光、行政運営等の分野を中心に、感染症や社会経済活動の状況に応じ、ウィズコロナの時代における適切な対策を迅速に講じるための考え方である。長期総合計画は、新型コロナウイルス感染症の影響等、区を取り巻く様々な社会経済状況が大きく変化したことに伴い、内容の改定を行う。4つの柱は、ウィズコロナの時代はもとより、今後の区政運営においても特に重要なことから、その考え方や今後の取り組み、実績・効果等を見定めながら計画に反映していく。また、計画期間中の歳入歳出予算の見通しを示す財政収支推計についても計画に記載する。社会経済状況の変化を的確に捉え、各分野の施策を効果的・効率的に展開し、コロナ禍を乗り越えた後も基本構想における将来像「世界に輝く ひと まち たいとう」の実現に向けて、全力で区政運営に邁進していく。

コロナ後を見据えて

 新型コロナウイルス感染症対策は、最重要かつ最優先の課題であるが、コロナ後を見据えて、今から検討すべき事項があると考える。まず、ペットに関する問題では、コロナ禍で住環境などが変わり、飼い続けることができなくなったペットが増えており、殺処分に至らないよう、民間の動物愛護団体が引き取って新たな飼い主に譲渡しているが、飼い主が見つからない場合は最後まで保護し続けている。しかし、団体の力にも限界があり、引き取ったペットの予防接種の費用など、団体の負担も増加している。他区では譲渡会の場所を提供している例もあるが、本区でもペットの殺処分ゼロを目指す民間団体に対する支援を検討すべきである。また、ペットコミュニティエリアについては、利用者が少なく、その活性化は今こそ重要である。桜橋のたもとという立地にあることから、姉妹区の墨田区民にも開放することにより、エリアの有効性が一段と高まると考えられ、その拡張も含めて検討すべきである。次に、観光や産業に係る計画の見直しに関する問題では、集客だけに頼らずに振興を図る方法も模索する必要があり、計画策定の視点について考えなければならない。そこで、このような計画の見直しという大きな問題や、ペットのような身近な問題について、今こそ検討を進めるべきではないか。

 動物愛護と適正飼養の推進は、コロナ禍の厳しい状況を乗り越えていくためにも、大切な取り組みであると認識している。また、ペットコミュニティエリアの充実など様々な課題はあるが、区民の心を豊かにし、日常を支えるための取り組みについても、しっかりと検討していかなければならない。更に、感染症の影響により、社会の変革が加速し、人々の意識や価値観、行動も変化していることから、産業や観光など様々な分野において、これまでの取り組みの見直しを図っていくことも必要である。こうした状況を踏まえ、今後、区では区政運営の長期的指針である長期総合計画の改定に着手し、各分野における施策の見直しを図っていく。コロナ禍を乗り越えたその先の明るい未来を切り拓くために、引き続き全力で区政運営に邁進していく。

その他の質問項目
1 財政について
2 行政運営について
3 事業者支援について
4 防災対策について
5 まちづくりについて


たいとうフロンティア

水島道徳

自宅療養対策について

 本区では、本年1月に新型コロナウイルス感染症の新規陽性者が急増し、医療機関や宿泊施設の逼迫により、200人以上が自宅療養者となった。1 陽性者が自宅療養の際に、オンライン診療の手続きがうまくいかず、診療や薬の処方が遅れた危険な事例があった。そこで、自宅療養者が速やかに診療や薬の処方が受けられる体制を構築すべきではないか。2 自宅療養者が外出せずに療養に専念できるよう、都は、希望する自宅療養者に対して食料品を配布しているが、感染拡大防止の観点等から、生活必需品である日用品も配布すべきではないか。3 自宅療養者に安心してもらうため、新型コロナウイルス感染症の重症化の目安となる血液中の酸素飽和度を測定するパルスオキシメーターを、必要とする全ての自宅療養者に貸与すべきではないか。

 1 自宅療養者は大幅に減少しているが、自宅療養者の不安を軽減するため、これまで個別に対応してきた電話等による医療機関での診療や処方、薬局からの処方薬の配送などについて、より利用しやすい方法としていく。2 配布物品については都が選定しているが、日用品の配布についても都に要望していく。3 現在、必要数を確保しており、年齢や全身状態等から必要と判断した場合には、自宅療養者に貸し出している。今後も、陽性者に入院または宿泊施設での療養を勧める方針に変更はないが、自宅療養者への支援についても全力で取り組んでいく。


台東区議会公明党

小菅千保子

SDGs目標1 「断らない相談」窓口の設置による包括的支援体制の構築について

 昨今、介護や生活困窮、虐待など個人や家庭が抱える課題は、複雑化・複合化しており、区民がどこに相談すればよいかわからず、区も対応に苦慮するケースが増えている。国は、社会福祉法の改正により、区市町村に断らない相談窓口の設置を促しており、本区も誰一人取り残さない姿勢を、断らない相談業務として体系づけていく必要がある。そこで、区民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応するため、多様な機関との連携強化等、断らない相談窓口の設置による包括的支援体制を構築すべきではないか。

 区では、介護や生活困窮者支援等の様々な相談業務において、支援を必要とする方の状況を丁寧に伺うことで、実態の把握とともに適切な支援につなげるよう努めている。断らない相談については、国で検討が行われ、世代等を問わず相談を受け止める相談支援事業をはじめとした包括的な支援体制を区市町村が整備するよう努めるものと、本年4月に施行される改正社会福祉法で規定されている。区においても、多様な機関との連携強化等を含め、来年度策定する台東区地域福祉計画において検討していく。

SDGs目標1&8 女性・非正規労働者の就労支援について

 野村総合研究所が行った「パート・アルバイト女性の実態に関する調査」によると、コロナ禍でシフトが半減して収入が大幅に減少しているが、休業手当を受け取っていない状態の実質的な失業者が、昨年12月時点の推計で90万人に上るとの実態が明らかになった。女性並びに非正規労働者については、国や都から様々な支援策が打ち出されているが、各法律に基づいた縦割りではなく、就労支援と福祉が一体となり、就労等で苦しんでいる方へ速やかに支援策が行き届くようにするべきである。そこで、誰一人取り残すことがないよう、就労を希望する方への情報提供や支援制度の拡充、体制の整備等に取り組むべきではないか。

 新型コロナウイルス感染症の拡大は、非正規雇用で働く方にも深刻な影響を及ぼしている。区ではこれまでも、それぞれの就労課題に関する支援事業を実施するとともに、ハローワークや労働相談情報センターとも連携し、相談者に応じた情報提供と相談支援に努めている。就労については、迅速な対応が必要であり、生活支援情報と一体となった就労情報の発信ができるよう工夫するとともに、区の各窓口とハローワークなどの関係機関との連携を一層密にし、一人ひとりが目指す就労につながるよう、全力で支援していく。

その他の質問項目
1 SDGs目標13 脱炭素社会について
2 SDGs目標11 セーフティネット住宅の家賃低廉化制度について
3 SDGs目標3 糖尿病重症化予防について


つなぐプロジェクト

青鹿公男

将来の交通のあり方を踏まえたまちづくりについて

 MaaSとは、ICTの活用により様々な交通サービスを1つの統合されたサービスとして捉える概念であり、スマートフォン1台で最適な移動手段の検索から予約や決済まで完了できるなど、交通に係る課題の改善につながることが期待されている。区は、コロナ後の地域経済を活性化させるために観光客の回遊性の向上や、公共交通機関の利用が困難な区民に対する移動の利便性向上等を図る必要があるが、MaaSのような区民や来街者が移動しやすいシステムの導入を含め、将来の交通のあり方を踏まえたまちづくりを積極的に検討すべきではないか。

 東京メトロが進めるMaaSの取り組みの連携先として、めぐりんの事業者である本区も参加している。今後、MaaSによるサービスの更なる展開や新型輸送サービスの実現が、本区の交通に係る課題解決とともに、安全で利便性の高いまちの構築につながると認識している。一方、実現には、まちづくりとしての整理も必要なため、歩行者も含めた街路空間のあり方等、都市基盤整備に係る課題は、各地区のまちづくりで検討を進めていく。今後、誰もが安全、安心、快適に移動できるまちの実現に向けて施策を推進していく。

保護司について

 保護司は、犯罪や非行をした人に対して、更生等の支援を行っているが、保護対象者の抱える問題の多様化等により処遇活動が一層負担になっている。また、平日の日中に活動が生じるなどの理由から、保護司として活動できる人材の確保が困難となっており、本区も定員に対し大幅に不足している。誰もが安心して暮らせる安全な地域社会の構築には、保護司の協力が不可欠である。保護司がやりがいを感じ、長く活発に活動を続けられるよう、支援を講じるべきではないか。

 区はこれまでも、区保護司会が実施する啓発事業や研修に要する経費の一部助成等、保護司の活動を支援してきた。更に、保護司の活動拠点である更生保護サポートセンターの設置場所として、区有施設の一部を提供するなど、活動場所の確保にも努めている。今後とも、保護司が様々な更生保護活動を円滑に行えるよう、引き続き支援していく。

その他の質問項目
ショートメッセージサービスの活用について


日本共産党台東区議団

鈴木昇

誰も取り残さない教育環境について

 コロナ禍の現在、GIGAスクール構想に基づき、児童・生徒に対する1人1台のタブレット端末の整備等を前倒しで行っている。ICT機器については、健康面への影響や教員の業務負担等を考慮すると、積極的に使用する必要はないと考える。一方で、コロナ禍により出席できない子どもが、自宅で授業を共有し、学校や友達とつながりが持てるようにするなど、タブレット端末等の更なる活用を求める声が出ている。1 どのような子どもも取り残さない教育を行うべきと考えるが、見解を伺う。2 オンラインによる学習体制を速やかに実施すべきではないか。

 1 予測困難な時代を生きる児童・生徒の健全な育成のためには、一人ひとりの児童・生徒に応じた質の高い教育活動が必要と考えている。また、学習指導要領等が示す基礎的・基本的な学力の定着を通して、誰一人取り残さない教育を確立することが不可欠であると考えている。2 現在、各学校においては、オンラインを活用した学習に資する教員研修とともに、教育実践を積み重ね、機器の活用に関する校内の推進体制を整えているところである。今後も児童・生徒の資質・能力の更なる育成を図る教育環境を構築していく。

標準服について

 1 帽子、スカート、ズボン等の標準服を導入している学校園があるが、駒形中学校では、本年4月より女子生徒がスラックスとスカートを選択できるようになり、性自認の観点から一歩前進したと考える。一方、コロナ禍では、特に衛生面に注意する必要があるが、標準服は毎日洗濯するのが難しいといった不安の声が保護者より聞かれる。そこで、標準服についての見解を伺う。2 性自認等の観点から、性別を問わず普段着と標準服を選択できるようにすべきと考えるが、これらの観点も含めた、児童・生徒、保護者、教員で標準服のあり方について話し合う場を設けるべきではないか。

 1 標準服については、児童・生徒が着用の義務を負うものではなく、望ましいと各学校が推奨している服装であると認識している。また、衛生管理等の理由で標準服を着用できない場合は、体育着等の着用を推奨するなど、各学校が個別に対応している。2 各学校は、児童・生徒の意見を参考に標準服を定めてきたが、今後必要に応じて、児童・生徒が自ら標準服について話し合う場を設けることや、学校運営連絡協議会や保護者会等で話し合う機会を設けるなどの方法をとるよう、各学校に助言していく。

その他の質問項目
1 生活保護について
2 少人数学級について
3 高齢者・障害者施設における介護従事者及び学校園関係者のPCR検査について
4 苦境に立つ商店に対する全力支援について


都民ファーストの会台東区議団

村上浩一郎

新型コロナウイルスワクチン接種について

 高齢化率の高い本区では、ワクチンの手厚い接種体制が必要不可欠だが、国からの情報も少なく、区民は、いつ接種できるのか不安を抱いている。そこで、より緊密に国や都と連携し、丁寧でわかりやすい情報を積極的に発信していくべきではないか。

 国や都等の様々な情報と合わせ各種広報媒体を活用し、接種時期や会場、予約の取り方等を正確にわかりやすく、迅速かつ丁寧に発信していく。また、接種券の発送にあわせ、区民が必要な情報を個別にお知らせしていく。

台東区立台東病院について

 台東病院は、慢性疾患の対応に重点を置いた病院として、高齢化率の高い本区に無くてはならない病院であるが、子育て世代が多く転入している現況を勘案し、診療科目を増設すべきではないか。

 診療科の追加は、医師の安定的な確保等に課題があり現状では難しい。産婦人科等の政策的医療は、永寿総合病院で引き続き確保していく。


たいとうフロンティア

田中宏篤

テレワークの更なる推進について

 1 民間企業がテレワークの推進に取り組む中、本区の実施状況は企業と大きな乖離があるが、窓口業務の多い行政であっても、また、現状の環境下であっても、工夫次第でテレワークを拡大する余地があると考える。そこで、区のテレワークの実施状況に対する評価と拡大に向けての課題について伺う。2 テレワークの推進には環境整備が急務であり、情報化推進計画は重要な位置づけになる。民間の有識者を活用し、計画の取り組みを加速させるべきではないか。

 1 通勤時の感染リスク回避等の効果が確認できた一方、対面での調整業務ができないなどの課題がある。試行結果を踏まえ、引き続きテレワーク環境の整備に向け検討していく。2 今後、システム事業者から提案を受けるなど、民間事業者を適宜活用し、更なる推進に取り組んでいく。

鶯谷駅周辺のまちづくりについて

 旧坂本小学校第二校庭跡地と旧坂本小学校跡地の2つの大規模用地は、有効な活用方法を再検討しなければならないが、鶯谷駅周辺のまちづくりの重要な位置付けとなるため、まちづくりの検討の中で用地の活用方法を検討すべきである。そこで、まちづくりと用地の検討の関係性について所見を伺う。

 地域の意見を聞きながら検討を進め、検討状況を共有し、相乗効果が最大となるよう進めていく。