一般質問の概要

一般質問とは 区の仕事全般について、区長等に報告や説明を求めることです。


台東区議会自由民主党

岡田勇一郎

地域幸福度(ウェルビーイング)指標の活用について

 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い人々のライフスタイル等が変化する中、価値観についても心の豊かさを重視する方向に変化している。このような中、肉体的にも精神的にも社会的にも全てが持続的に満たされた状態にあるウェルビーイングという概念が広がりを見せており、国等の様々な施策にも取り入れられている。国は、デジタル実装を通じて地方の課題を解決し、全ての人がデジタル化のメリットを享受して心豊かな暮らしを実現するデジタル田園都市国家構想の推進にあたり、取り組みへの参加自治体に対しウェルビーイングの概念を落とし込むため、健康や経済、教育、環境等の客観的な要素だけではなく、人々の主観的な幸福感等も測ることができる地域幸福度指標を提供している。本区も施策に主観的な指標を用いることで、施策に対する区民の幸福度を測ることができ、より一層幸福度の高い本区を創り上げることができると考えるが、長期総合計画をはじめとする各計画に地域幸福度指標を活用すべきではないか。

 各計画の指標は、子育てに不安等を感じる人の割合など、個人の主観を測る指標を含めて設定しており、区民の幸福度の向上を意識して計画を策定することは重要と認識している。国の地域幸福度指標は、採用する指標や分析手法について現在も改善等が重ねられており、指標の活用については国の動向を注視するとともに他自治体の例なども参考にしながら、引き続き各計画の策定において適切な指標の設定に努めていく。

保育における保育短時間制度見直しについて

 子ども・子育て支援新制度により、これまでの保育の最大利用可能時間を1日11時間とする保育標準時間とは別に、1日8時間とする保育短時間制度が導入された。本区は、保護者のいずれかが育児休業を取得する際、既に保育園に通っている子が引き続き保育園を利用する場合、保育短時間を適用することとしている。しかし、これにより、就労を継続している保護者は保育園の送迎を担うことができず、育児休業を取得している保護者の負担が増加する懸念がある。他区では、育児休業の取得中でも保育標準時間と保育短時間の選択を可能としている事例があるが、本区も子育て支援の観点から、それぞれの家庭の事情により保育時間の選択を可能とするなどの見直しが必要ではないか。

 保護者が育児休業を取得した際に既に保育園を利用している子がいる場合は、発達への影響を考慮し、環境の変化が生じないよう保育園の継続利用を認定している。また、保育認定時間は地方公共団体の裁量に委ねられており、国の通知を参考にしながら保育短時間の認定を行っている。こうした状況の中、育児休業を取得する以前は保育標準時間の認定であった子について、引き続き標準時間を認定してほしいとの要望を受けている。取り扱いの変更にあたっては保育実施体制の課題があると認識しており、保育所との協議を進めるとともに、他自治体の事例も参考にしながら検討しているところである。

その他の質問項目

空き家対策について


台東区議会公明党

弓矢潤

HPVワクチン接種について

 1 (ア)子宮頸がん予防に有効なHPVワクチン接種の積極的勧奨が差し控えられた世代に対して、公費により接種を行うキャッチアップ接種の期限が迫っている。未接種者全員に対し、接種期限が迫っている旨を改めて通知するなど、周知を徹底すべきではないか。(イ)定期接種が開始された時期と比べ、現在の接種率は大きく低下しているが、積極的勧奨が一度中止されたことに対する不安感等が理由として考えられる。そこで、接種の全対象者とその家族に対して、接種に関する正しい情報の提供とともに、不安を払拭するための啓発を行うべきではないか。2 男性のHPVワクチン接種は、パートナーの感染防止等にも繋がるため意義が大きい。本区の男性への接種費は、任意接種のため自己負担であるが、一部自治体では接種費助成が開始されている。そこで、本区も男性への接種費助成を実施すべきではないか。また実施の際は、接種前後の相談にも丁寧に対応すべきではないか。

 1 (ア)キャッチアップ接種の対象者に予診票を個別に送付し、接種勧奨を行ってきた。最終年度は未接種者に対し、改めて個別に案内を送付する。(イ)接種への不安を払拭するための情報提供にも引き続き取り組んでいく。2 助成制度は国等の動向も注視しながら検討していく。今後も予防接種に関する接種前後の相談に対しては、丁寧な対応に努めていく。

補聴器に対する購入費助成について

 加齢によって聞き取りが困難となる加齢性難聴は、認知症を発症させるなど、多くの危険を伴うことから、より早い段階での補聴器の使用が重要である。これまで、集音器も含めた聞こえを改善する機器の購入費助成を提案してきたが、集音器は様々な機種が製品化されており、各高齢者の状態に合わせて安全に利用してもらうためには、助成対象とする機器の要件等を整理する時間が必要である。そこで、まずは補聴器に対する購入費助成を先行して進めるべきではないか。

 これまで、聴力機能が低下した高齢者を対象とした、集音器や補聴器の購入費用を助成する事業を効果的に実施するため、様々な機器の性能や他区の事業内容の確認等を行ってきた。高齢者の生活の質の向上等には、聞こえを改善することが大変重要である。まずは、補聴器を対象とした購入費助成の実施に向けて、鋭意準備を進めていく。

その他の質問項目

「区長と語る会」の実施対象者について


つなぐプロジェクト 無所属・都民ファースト・国民民主

本目さよ

こどもまんなかについて

 社会が子どもの視点に立ち、子どもの最善の利益を考え、福祉と健康の向上を目指す、「こどもまんなか」社会の実現に向け、本区も積極的な役割を果たす必要がある。1 次期次世代育成支援計画に位置付けるだけでなく、現在もしくは来年度からできることに対して早急に取り組むべきではないか。2 (ア)こどもまんなかの教育方針は極めて重要であるが、今後どのように展開されるべきか。(イ)多様性を尊重し、全ての子どもが個性を尊重される教育環境をどのように構築していくのか。

 1 今後は、あらゆる場面でのこどもまんなかの取り組みの推進について改めて職員に意識啓発を図ることで、より充実した情報発信となるよう速やかに取り組んでいく。また、区として必要な施策は国の方針等を踏まえ鋭意検討を進め、こどもまんなか社会の実現に向け、引き続き全力で取り組んでいく。2 (ア)人権尊重の精神の育成を始めとした基本方針に基づき総合的に教育施策を進めており、こども基本法の基本理念にも沿うものと認識している。今後も教育施策の着実な推進とともに、更なる取り組みの充実に努めていく。(イ)今後も学校園が行う教育の充実はもとより、家庭や地域等とも相互に連携を図りながら多様性を尊重し、命と心を大切にする教育を推進していく。


維新・無所属の会たいとう

木村佐知子

区民の利便性向上のためのDXについて

 1 庁舎1階の窓口混雑を緩和させる取り組みとして、デジタル化の推進による書かない窓口等の実現が有効だが、基幹業務システムの標準化を控える中、現状でシステムの一新は困難である。そこで、業務プロセスの再構築など、今できる努力をすべきではないか。2 めぐりんの利便性向上を図るため、交通機関のリアルタイムな位置情報を地図上に表示できるなど、より利便性の高い経路検索システムに、めぐりんが交通手段として表示されるよう対応すべきではないか。 

 1 電子申請等の利用促進とともに、業務手順の見直しを検討している。今後もシステム標準化等の動向を踏まえ、デジタルを活用した、待たない、書かない窓口の構築を推進するなど、利便性向上に努めていく。2 経路検索システムに対応させるには、運行データを所定の様式に整理し、運営会社に提供する必要がある。利用者等のリアルタイムな位置情報を地図上に表示できるシステムに対応させることで、利便性がより向上するものと考えており、実現に向けて検討を進めていく。

酷暑の続く夏季の子供たちの遊び場について

 本年のような猛暑が続いた夏に、子供たちが安心して身体を動かせる遊び場の確保は喫緊の課題である。そこで、来年の夏に向けて、検討が必要ではないか。

 たなかスポーツプラザ1階小体育室を幼児向け運動場所として一時的に開放したほか、屋内の活動場所として児童館での活動の充実等に取り組んでいる。子供が安心して遊べる場所の確保に向け、既存事業の充実等、改めて検討していく。


台東にじいろの会( 立憲・れいわ)

青柳雅之

国民健康保険について

 物価高騰による生活費の上昇に加え、増加し続ける国民健康保険料をはじめとした社会保険料等の負担により、区民生活は深刻な影響を受けている。本区の国民健康保険は、特別区における統一的な算定方式に基づき保険料率を設定しているが、他区においては独自に設定しているところもある。本区においても、独自に保険料率を設定することで区民の負担を軽減すべきではないか。

 保険料率の設定に当たっては、国民健康保険制度発足以来の経緯や、将来的な保険料水準の統一という大きな方向性があるため、引き続き特別区における統一的な算定方式に基づき対応していく。今後も、国や都へ必要な要望を行うとともに、制度の安定的な運営のため、適切に対応していく。

廃食油とSAF燃料について

 本区では、これまで廃食油の回収を行ってきたが、生活様式の変化により、回収量は年々減少してきている。そうした中、廃食油が二酸化炭素排出量の削減効果が期待できる持続可能な航空燃料であるSAFの原料として注目を集めている。そこで、需要の高まりに合わせて、廃食油の活用に関する啓発を充実させていくべきではないか。

 今後は、家庭から出る廃食油が燃料等で活用されていることや、都が始めたSAFの原料となる廃食油回収事業の取り組みを紹介するなど、時代の変化を取り入れながら、啓発内容の充実を図っていく。


日本共産党台東区議団

鈴木昇

住み続けられる台東区にするための施策について

 本区には、下町の趣を残す古い住宅が未だ残っており、そこに住む方々から今の住宅に住み続けたいなどの声が上がっている。一方、震度6強から7程度の地震でも倒壊しない新耐震基準を満たさない住宅については、改修を行うことが防災・減災上必要であるが、建築資材等の高騰により現在の助成制度では費用が足らず、やむを得ず断念した方もいる。そこで、既存の住宅に住み続けたい所有者に対して、住宅の防火性向上に資する新たな支援制度を創設すべきではないか。

 既存住宅の防火性能の向上には、火災に強い建築物への建て替えの促進が重要と考えていることから、区では不燃化建て替えの推進に取り組んでいる。防火改修助成については、現時点では考えていないが、引き続き、他区の状況について情報収集を行っていく。

ひとり親世帯の住宅支援について

 ひとり親の2人に1人は貧困状態にあると言われており、本区では、交通等の利便性もあり家賃相場が高いことから、ひとり親世帯が住み続けることができず、引っ越しを余儀なくされる事例も生じている。そこで、ひとり親世帯に対して家賃補助や借り上げ住宅等の支援策を講じるべきではないか。 

 既存制度の推進に努め、居住環境の向上を図っていくことが重要である。現時点では新たな支援策は予定していないが、引き続き、他自治体の取組状況等を研究していく。

その他の質問項目

1 広く区政全般に子どもの意見を反映させることについて
2 子どもの室内遊び場の充実について


台東区議会自由民主党

石原喬子

北部地域の交通利便性の向上について

 北部地域は鉄道施設から離れており、交通利便性が高いとは言えない。誰もが住みやすい街にするためには、現在行っている空き家・空き店舗等を活用するリノベーションの手法を用いて、商店街の活性化等を図るまちづくり事業の取り組みに加え、生活利便性の向上が重要である。そこで、地域全体の交通利便性の向上を検討するとともに、交通弱者が安全で、近距離の移動も手軽に行える交通手段の導入を同時に検討すべきではないか。

 地域全体の交通利便性向上は、都市計画マスタープランに定める北部地域の将来像である「人々が共生し住み働き続けられる便利なまち」の実現に必要である。これまで、めぐりんの導入等に取り組んできたが、既存の交通機関の課題を整理するなど検討していく。手軽な交通手段の導入は必要であると認識しており、区民等が快適に区内を移動できる手段としてモビリティの実証実験を行ったところである。今後、公道での実証実験を行うための検討を進め、走行の実現に向けて安全性等、課題の確認を行っていく。引き続き北部地域をはじめとした区内の交通利便性の向上と、誰もが安心して移動できる新たな交通手段の導入に向けた検討を進めていく。

国際交流の取り組みについて

 本区はこれまで、様々な事業を通して海外の姉妹都市と交流関係を深め、国際理解等の促進を図ってきた。また、国立西洋美術館の世界遺産登録の際は、姉妹都市のある国以外の諸外国ともつながりが生まれ、産業や観光等の一層の推進につなげるため、各国の大使館関係者を浅草流鏑馬に招待するなど交流を深めてきた。このような国際交流は非常に重要と考えるが、更なる推進を図るには、姉妹都市をはじめ多くの諸外国との関係を持つ国際交流担当が中心となり、様々な事業や地元産業を側面から支援することなどが期待される。1 今後、大使館との国際交流をどのような方針で進めていくのか。2 外の姉妹都市との交流をどのように推進していくのか。

 1 諸外国の大使館との交流は、区の事業の海外展開等のきっかけとして有意義であると認識している。今後もこれまで築いてきた関係を活かして区の事業の紹介等に積極的に取り組み、一層の交流を図っていく。2 海外の姉妹都市との交流は、区民が多様な文化や価値観に継続して触れることのできる貴重な機会であると認識している。これまで、周年時には相互に訪問し意見交換等を行うなど、理解の促進に努めてきた。今後も姉妹都市の状況について情報収集を行うとともに、周年事業等を通じて区民が国際理解を深めることができるよう、交流を推進していく。

その他の質問項目

1 台東区内の自転車駐車場の整備について
2 和太鼓等の伝統文化を継承していくための活動場所について


つなぐプロジェクト 無所属・都民ファースト・国民民主

中村謙治郎

自治体業務におけるChatGPTなどの生成AIの活用について

 対話形式での質問にAIが回答するChatGPT等の生成AIは、自ら学習し創造的な成果を生み出す能力を持ち、幅広い活用が期待される。一方で、情報の正確性等の課題もあり、人間の判断に置き換わるものではなく、補完するものであるという点が重要となるが、本区でも論点整理等を進め、生成AIの活用を推進すべきではないか。

 全庁での試行等を通し課題の整理等を行うなど、導入に向けた検討を行っている。今後も職員がより付加価値の高い業務へ注力できるよう、デジタル技術を活用した業務の効率化を力強く推進していく。

災害時における在住外国人の共助について

 本区の外国人人口が増加する中、言語や文化の違いにより災害時には様々な困難が想定される。外国人への対応として多言語での情報提供等の自助の取り組みは進めているが、災害時における対応力強化などのために、避難所の運営側として協力してもらうなど、外国人も災害時に力を発揮できるような共助への取り組みを行っていくべきではないか。

 今後、町会と連携し、外国人にも防災訓練へ参加してもらうなど、地域防災における共助の担い手として活動しやすい環境づくりに取り組むことで、地域防災力の更なる向上に努めていく。