区長所信表明

項目

1 はじめに
2 誰一人取り残さない、支援の仕組みづくりについて
3 災害対応力の強化について
4 都区財政調整について
5 令和7年度予算案について
 ■ あらゆる世代が生涯にわたって成長し輝くまちの実現
 ■ いつまでも健やかに自分らしく暮らせるまちの実現
 ■ 活力にあふれ多彩な魅力が輝くまちの実現
 ■ 誰もが誇りや憧れを抱く安全安心で快適なまちの実現
 ■ 多様な主体と連携した区政運営の推進
6 おわりに


代表質問の概要

代表質問とは 各会派の代表者が区長提出議案や区長の政治姿勢などに対し、質問を行うことです。


台東区議会自由民主党

石塚猛

財政について

問 国の経済動向を見ると、2024年3月に日経平均株価が4万円を突破し、経済の停滞からの糸口が掴めつつあるとの見方もあるが、区民生活や地域経済は、物価高等の影響により、依然として暮らしや経営が厳しい状況である。これに対し本区では、令和4年度に23区で初となる給食費の実質無償化や、今年度においても、都の物価高騰緊急対策支援事業を活用した、介護・障害福祉サービス事業者等に対する光熱費等の支給を速やかに実施するなど、区民や事業者を守り抜くため、様々な事業を展開してきた。コロナ禍に物価高騰の影響が重なり、社会情勢が大きく変動した中、必要な施策を着実に進められたのは、どのような社会経済状況にあっても行政需要に確実に対応できるよう、強固な財政基盤を維持してきたからであると考える。1 本区の財政状況を振り返ると、新型コロナウイルス感染症の下、一般財源は大幅な減収を見込んでいたが、国の各種施策の効果もあり、増収傾向が続いている。また、7年度当初予算案では、特別区税・特別区交付金ともに増収が見込まれており、コロナ禍を経て、ここまで急激に経済が回復し、これほどの財源が確保できたことは、区は想定していなかったのではないかと考える。目まぐるしく変わる社会経済状況の中、先を見通すことの難しさを改めて感じているが、区財政の現状をどのように評価しているのか。2 7年度予算は、17年ぶりに金利がある中での編成となり、区民の暮らしや区財政等にとって、どのような影響が表れるのか、これまで以上に見通しが難しい中での予算編成であったと推測する。一般会計は、対前年度比6%の増となり、初めて1,300憶円を上回った。歳入では、6年度と比較して、特別区税と特別区交付金はいずれも大幅な増収となり、歳出では、子供・子育て施策や福祉施策の充実、DXの推進による区民サービスの向上にも積極的に取り組む予算を編成したことがうかがえる。一方で、施設の大規模改修等について、公共施設保全計画第3期実施計画を見直した上で予算計上するなど、建築資材の高騰等の影響も大きかったのではないかと思われる。そこで、7年度予算は、どのような考えのもと編成したのか。3 都区財政調整協議会において、7年度からの特別区の配分割合を55.1%から56%に、特別交付金は5%から6%にすることが合意されたことは、驚きをもって受け止めているが、今回の協議結果を踏まえ、その評価と今後の都との関係について、所見を伺う。4 一般財源は約64億7千万円の増収となっており、区財政は良好であるように見える。しかし、今後の財政需要に目を向けると、経常的経費では、子育て支援や障害者へのサービスの充実等、扶助費の増加が引き続き見込まれるほか、投資的経費では、教育施設の大規模改修が多く控えるとともに、(仮称)北上野二丁目福祉施設の整備や、台東リバーサイドスポーツセンター陸上競技場の改築等、多額の経費が見込まれるものの、着実に推進しなければならない取り組みが多くある。国の月例経済報告では、景気は一部に足踏みが残るものの緩やかに回復しているとあるが、未だ先行きは不透明である。加えて国では、更なる税源の偏在是正措置の検討とともに、税制改正による所得控除の見直し等が議論されており、その影響には十分注意する必要がある。また、ふるさと納税制度の減収額も年々大きくなる中、引き続き必要な取り組みを着実に進めていくためには、将来を見据えた強固な財政基盤を維持していくことが肝要と考えるが、今後の財政運営について、所見を伺う。

答 1 ここ数年で社会経済状況は大きく変化し、これまで以上に先を見通すことが難しい状況にある。このような中でも、税収の上振れ分を着実に基金に積み立てるなど、必要な財政力の維持により、区民や事業者の様々なニーズを的確に捉え、必要なサービスを迅速に実施することができたと認識している。2 7年度予算については、本区が将来にわたり、魅力にあふれ活力に満ちた都市であり続けられるよう編成に臨んだ。保護者の経済的負担を軽減する取り組みとして、区立小中学校における補助教材や学用品費等に係る費用を支援するほか、肺がん検診の実施医療機関の大幅な拡大や、茨城県筑西市への広域防災備蓄倉庫の設置、大河ドラマ「べらぼう」活用推進等、様々な行政需要に着実に対応している。これらに加え、物価高騰の影響もあり、予算規模としては過去最高額となったが、これまで培ってきた財政の対応力を活かし、基金や起債を積極的に活用することで、必要な予算を編成した。3 都区間の配分割合の見直しは、足掛け6年にわたる大変厳しい協議となった。今回の合意は、配分割合の変更事由や考え方について、都区双方が真摯に協議を継続してきた結果であると評価している。都との関係においては、観光バス対策や防災、地域産業支援等、都と区が連携して対応すべき課題が数多くある。このことについては、今年度の都知事との意見交換においても、協議を重ねることができた。今後も、都と区が東京の未来を共に創り上げていけるよう、これまで以上に連携を密にし、取り組んでいく。4 歳入では、不合理な税制改正の影響額が年々増加しているほか、所得控除の見直し等の影響にも十分留意する必要がある。このような状況においても、必要な区民サービスの確実な実施とともに、新たな行政需要にも対応していかなければならない。そのため、行財政基盤をこれまで以上に強化していくことが重要であり、一定の基金残高を確保するほか、更なる財源確保や、DXの推進による業務の効率化等をより一層進めていく。中長期的な視点に立ち、持続可能で安定的な財政運営を推進することで、区民の生命と暮らしを守り抜き、「ひと」と「まち」が輝く未来を築き上げるため、引き続き、必要な施策を迅速かつ適切に実施していく。


台東区議会公明党

小坂義久

区政運営について

問 1 平成27年から始まった服部区政は、基本構想の将来像である「世界に輝く ひと まち たいとう」の実現に向け、様々な施策に取り組んできた。この間、新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延により、区民生活等において深刻な状況が続いたが、区長は区民の生命と健康を守り抜き、区民生活等を支えながら、区政運営を進めてきた。そこで、この10年間、区民福祉の向上に邁進し、様々な分野で多大な成果を上げてきた実績を踏まえ、区民とともに歩んできた区政運営の軌跡について、所見を伺う。2 区長の任期が残り2年となる令和7年は、区内に観光拠点施設である江戸新吉原耕書堂等が開設され、全国から注目を集めている。また、訪日外国人観光客数が本格的に回復するなど、本区に賑わいが戻りつつあるが、物価高騰などが依然として区民生活等に影響を及ぼしている。そうした中、区長は所信表明で、社会経済状況等の変化を的確に捉え、必要な施策を中長期的な視点に立って着実に推進していくこと、また、都区財政調整において、特別区の配分割合を変更することなどに合意したことを明らかにした。そこで、これらを踏まえ、基本構想の将来像の実現に向けて、今後どのように区政運営を行っていくのか、所見を伺う。

答 1 区長就任以来、常に区民等に寄り添いながら、様々な分野における施策の充実を図ってきた。具体的には、花の心プロジェクトの推進等による本区の魅力の発信、加えて、産業フェアの開催による区内中小企業の販路拡大支援、更には、特別養護老人ホーム竜泉の整備や、23区で初めての学校給食の食材調達の全面支援等、本区の更なる発展に向けて取り組んできた。この10年間で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や物価高騰等、本区を取り巻く社会経済状況に大きな変化があった。こうした変化に的確に対応し、臨機応変にスピード感を持って取り組みを進めるとともに、長期総合計画を修正し、効果的・効率的に施策を展開してきた。2 引き続き、社会経済状況を踏まえ、中長期的な視点に立って区民福祉の向上等に資する取り組みを進めていく。令和7年度は将来の災害に備えた災害対応力の強化や、未来を担う子供への支援の拡充等を図っていく。また、今年度の都区財政調整協議では、特別区の配分割合を56%に引き上げることで合意を得ることができた。今後とも、制度の安定的な運営に尽力するとともに、都区が抱える課題の解決に向けて、これまで以上に連携を密にし、取り組んでいく。未来を見据え、長期総合計画を着実に推進することで、引き続き、基本構想に掲げる将来像の実現を目指し、全力で区政運営に邁進していく。

2025年問題について

問 団塊の世代全員が75歳以上となり、5人に1人が後期高齢者となる2025年問題は、介護が必要となる要介護者等の増加により、社会保障費の負担増加や医療・介護ニーズの変化等、多くの分野に影響を及ぼすとされている。そのような中、昨年公表された日本福祉大学の調査結果によると、社会参加が多いほど高齢者が要介護状態になるリスクが低下するとされている。持続可能な社会保障制度の実現には、介護人材の増加とともに、高齢者の社会参加を促し、社会全体で支える体制を構築することで健康寿命の延伸を図ることが重要である。そこで、2025年問題における本区の高齢者福祉に関する認識について伺う。

答 後期高齢者人口が増加する一方で、現役世代の人口が減少し人口構成の大きな変化が見込まれることにより、本区でも雇用や医療など様々な分野に大きな影響が出ると認識している。これを踏まえ、令和6年3月に策定した第9期台東区高齢者保健福祉計画において、各種施策等を定めている。特に健康寿命の延伸に向けては、高齢者の社会参加等の促進に注力するなど、健康づくり等を推進するとしている。また、介護人材の確保等については、採用活動経費助成の実施等の取り組みを推進するとしている。これらを含め、高齢者の保健福祉の増進を図るため、様々な事業を着実に進めているところである。引き続き、高齢者がいきいきと安心して自立した生活を続けられるよう、地域の人々が助け合い、支え合えるまちを目指して取り組んでいく。

生涯学習について

問 人生100年時代や超スマート社会に向けて社会が大きな転換点を迎える中、生涯学習の重要性が一層高まっている。本区では、台東区生涯学習推進計画に基づき、各事業を展開しているが、区民一人一人が生涯を通して学ぶことができる学習環境の整備や、年齢、国籍、障害の有無によらず、誰もが参加できる学習機会の提供、また、学習成果が適切に評価され、それを活かして様々な分野で活躍できる仕組みづくりが必要であると考える。1 人生を豊かにするための生涯学習の重要性について、所見を伺う。2 昨年末から、生涯学習センターの機能強化等に向けた改修工事が本格的に開始されたが、今後の生涯学習の取り組みについて、所見を伺う。

答 1 生涯学習は、学びによる達成感やコミュニティの醸成を図るとともに、個々の知識と技術を活かし、地域課題の解決や地域の活性化に資するなど、より豊かで充実した生活を送る上で大切な活動であると認識している。2 生涯学習センターの改修工事により、誰もが気軽に学習に参加でき、相互に学び合うことができる交流スペースの設置をはじめ、新たな学習形態に対応するよう、ICT環境の整備を図ることで、様々な講座や自主学習の機会を充実する。更に、学びによる知見とノウハウが地域やボランティア活動に還元されるよう、台東区民カレッジを推進するとともに、学習成果を発表する場を整備することで、多様な学習ニーズに対応していく。区民一人一人が自らの可能性を最大限に引き出し、学んだ成果を社会に活かし、生涯にわたって誰もが生きがいのある心豊かな生活を享受できるよう、更なる生涯学習の推進に取り組んでいく。


つなぐプロジェクト 無所属・都民ファースト・国民民主

中村謙治郎

観光振興と区民生活の調和について

問 本区の観光産業は、地域経済を支える重要な柱であり、その発展は区全体の成長につながるものである。一方、区内では観光客をはじめとした来街者の増加に伴い、ごみのポイ捨てや不法投棄が増え、生活環境の悪化等、地域住民の生活に様々な悪影響が生じており、区民から懸念や不満の声が届いている。観光振興は重要であるが、観光客の増加により、区民の平穏な生活が損なわれてはならず、国際観光都市としての魅力を維持しつつ、観光に偏りすぎることなく、地域住民が安心して暮らせる持続可能な街づくりを進めることが最も重要である。そこで、来街者の増加による区への影響や、観光振興と区民生活との調和についての認識、また、今後の対応についての所見を伺う。

答 本区が国際観光都市として持続的な発展を目指す上で、来街者の受け入れと区民生活の質の確保・向上との両立は不可欠である。来街者の増加により、マナーや生活習慣の違いによる騒音、ごみの放置等のトラブルが発生するとともに、交通等のインフラへの負荷も見られる。今年度、浅草地区では国の補助制度を活用し、地域とともに持続可能な観光地づくり事業を進めており、課題として、ごみのポイ捨て、トイレ・公衆喫煙所の情報不足、街路の混雑等の意見を多くいただいた。これらの課題を踏まえて様々な取り組みを実施し、現在、効果を検証しているところであり、今後、浅草地区での取り組みをモデルケースとして他地区への展開を検討している。また、来年度実施する(仮称)観光振興方針策定のための実態調査では、国や都、国内主要観光地域の情報を収集・分析するとともに、区民や事業者へのアンケート調査等により、現状や課題等を丁寧に把握し、区民の生活環境に配慮した観光振興方針の策定に活かしていく。今後も、区民と来街者の双方が満足できる、区民生活と調和した観光の振興を図っていく。

災害に強い台東区の実現について

問 近年、大規模な地震が全国各地で発生しており、今後も災害はいつ発生するか分からないことから、防災対策の強化は急務である。阪神・淡路大震災では、約8割の人命救助が地域の共助であったことから、地域住民が一体となり、共助の精神を育みながら、防災力を高める取り組みを今後も推進していく必要があると考える。また、通電火災対策に係る初動対応の充実や緊急輸送道路沿道建築物の耐震化支援の拡充等、既存施策の一層の推進が求められる。更に、ドローンなどの先端技術を活用した対策の強化や二次元コード等のデジタル技術を活用した避難所運営の効率化、区内住居の約8割を占める集合住宅における在宅避難のための環境整備等にも取り組む必要がある。これらの課題を踏まえ、本区の防災・減災対策を更に強化し、地域全体で災害に強い環境を整備することで、区民が将来にわたり安心して暮らせる持続可能なまちづくりを目指すべきである。そこで、災害に強い台東区の実現に向けた今後の施策と、その取り組みに対する区長の思いを伺う。

答 これまで、避難所の衛生対策やプライバシーの確保等を図るため、区の備蓄を大幅に充実した。また、自主防災組織への助成金の拡充や関係機関と連携し、災害に関する意識啓発事業の全区的な展開等、地域における自助・共助の取り組みをより一層推進してきた。今後、建築物の耐震化については、所有者への働きかけの強化等により更なる促進を図っていく。また、不燃化については災害時に甚大な被害が想定される地域で、不燃化建替え助成制度等により耐火性能の高い建築物への誘導を図り、災害に強いまちの実現に努めていく。更に、来年度予算案では、台東区災害時トイレ確保・管理指針の策定や帰宅困難者対策をより前進させるため、3D都市モデルや人流データ等を活用し、災害時に混雑や渋滞が予想される箇所の可視化や対応策の検証を行うなど、様々な新しい取り組みを実施するための経費を計上している。今後も、これまでの災害で得られた教訓等を活かし、ハード、ソフトの両面において全力で災害対策に取り組んでいく。

子どもの権利を基盤としたまちづくりについて

問 ユニセフが推進する子どもにやさしいまちづくり事業は、子どもをまちづくりの主体と位置付け、行政の意思決定過程への子どもの参加を促し、子どもの最善の利益を図るべく積極的に取り組む自治体を認証する制度であるが、近年、この事業に取り組む自治体が増えている。子どもたちは、社会全体で支えるべき存在であるが、現実には意思を十分に表現できず、孤立し、追いつめられる状況が生じている。子どもにやさしいまちづくりは、子どもたちの声に耳を傾け、その権利を守ることから始まり、それは同時に、子どもたちの命を守り、豊かな成長を支えることにもつながるものである。本区においても、ユニセフの同事業の理念を踏まえ、子どもの権利を基盤とした包括的な施策を進めるべきと考える。そこで、子どもの意見を施策に反映させ、子ども自身が主体となるまちづくりをどのように推進していくのか、区長の所見を伺う。

答 家庭や学校、地域等のあらゆる場面において、子供の基本的人権が保障されるとともに、意見表明や社会参画の機会が確保されることは、未来を担う子供達を地域全体で育むことであり、全ての人の幸福につながるものと認識している。そこで、今年度改定する台東区次世代育成支援計画では、子供の権利を保障することを基本目標の第一に掲げ、様々な分野で子供達が安心して意見を述べることができる機会を更に確保し、施策に反映させるとともに、その施策を全庁的な視点で検証・評価できるよう、庁内連携をより一層強化していく。引き続き、子供達一人ひとりが自己肯定感や主体性を育みながら、望む未来に向かって着実に歩みを進められるよう、計画の基本理念である「やさしいまち たいとう」の実現に向けて全力で取り組み、誰もが生涯にわたって成長し輝くまちづくりを進めていく。