令和5年第1回区議会定例会区長所信表明《要旨》

はじめに

 私が台東区長に就任してから、間もなく2期8年が経ちます。区政運営の最高指針である新たな基本構想を策定し、将来像である「世界に輝く ひと まち たいとう」を実現するため、常に区民や事業者の皆様に寄り添いながら、台東区の更なる発展に向け全力を尽くしてまいりました。
 この間、我が国は「令和」という新たな時代を迎え、本区にとって大きな飛躍を遂げる時代が始まると考えていましたが、新型コロナウイルス感染症という未曾有の危機は、私たちの生活を一変させ、今なお暮らしや事業活動に影響を与えています。
 そのような状況の中、私は、区民の生命と健康、そして生活を守り抜くため、ワクチン接種をはじめとする感染症対策に全庁をあげて取り組んできました。
 現在、ウクライナ情勢の影響による原油価格や物価の高騰、さらには為替変動により、我が国の社会経済は大変厳しい状況にあります。
 これまで、区内公衆浴場に対する燃料費支援や介護・障害福祉サービス等事業者に対する光熱費及び燃料費支援をはじめ、「こども商品券」の配布、学校給食の食材調達の全面支援、幼稚園・こども園・保育園などへの副食費等補助、子供食堂等実施団体への支援による子育て世帯への食の支援拡充も実施しました。
 未だ、幅広い分野で値上げの動きがみられることから、これらの対策に加え、本区が将来にわたり、魅力にあふれ活力に満ちた都市であり続けられるよう、全力で区政運営に邁進してまいります。

今後の区政運営について

 新型コロナウイルス感染症の影響等、本区を取り巻く社会経済状況は大きく変化しています。変化を的確に捉え、効果的・効率的に施策を展開していく必要があることから、区政運営の長期的指針である長期総合計画の一部修正を進めてまいりました。主な施策について、基本目標ごとに申し上げます。

(1)あらゆる世代が生涯にわたって成長し輝くまちの実現
 妊産婦や子供、若者など一人ひとりに応じた支援を推進するため、「こども家庭センター」の機能を包含した「(仮称)北上野二丁目福祉施設」の整備を進めてまいります。
 「学びを止めない学校教育」を確立させるため、ICT教育における「1人1台端末」の配備を実現するとともに、「台東区学校教育情報化推進計画」の策定により、児童・生徒の情報活用能力の育成に努めています。変化の激しい予測困難な今日において、世界に飛躍し未来を創造する子供を育むため、教育委員会と連携し、教育環境の更なる充実を図ってまいります。
 また、人生100年時代の到来や「Society5.0」の実現に向けた取り組みが進む中、生涯学習の重要性が一層高まっています。
そこで、ICTを活かした学習環境の充実や図書館機能の拡充など、「台東区生涯学習センター」の機能強化を行い、多様なニーズや主体に対応した生涯学習環境を整備してまいります。

(2)いつまでも健やかに自分らしく暮らせるまちの実現
 新型コロナウイルス感染症などの健康危機が発生した際に、区民の生命と健康を守るためには、迅速かつ的確に対応できる体制の整備が重要です。
 計画的な資器材の備蓄や医師会をはじめとした関係機関との協議会の開催、感染症の蔓延防止を図るための訓練の実施など、感染症対応の経験を踏まえた対策を進めており、今後もこうした取り組みを継続し、健康危機管理を推進してまいります。
 本区の75歳以上の人口は増加傾向にあり、要支援・要介護者や認知症高齢者も増えていくことが予測される中、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、福祉サービスの充実を図っていく必要があります。
 そのため、「(仮称)竜泉二丁目福祉施設」の整備を進め、区立特別養護老人ホームの増床や障害者の高齢化を見据え共生型のサービスを提供してまいります。
 また、本区の障害者施策の中核を担ってきた松が谷福祉会館について、機能充実に向けた検討を重ねています。引き続き、適切な相談支援とサービス提供体制の整備に取り組み、一人ひとりに寄り添った支援を行ってまいります。

(3)活力にあふれ多彩な魅力が輝くまちの実現
 我が国においては、生産年齢人口の減少に伴う人手不足の深刻化に加え、新型コロナウイルス感染症や、物価上昇等により、区内事業者にも大きな影響が及んでいます。
 そこで、経営力の向上を図り、新たな挑戦・成長を後押しするため、ビジネス支援ネットワークを通じて、専門相談員による支援体制の強化や、新製品・新技術の開発、販路開拓などを支援し、区内中小企業の競争力を高めてまいります。
 また、観光客の意識・行動の変化など、観光を取り巻く環境も著しく変化しています。
 「台東区観光統計・マーケティング調査」や民間企業が提供する人流データ等、得られた情報を基に観光客の滞在時間や回遊の行動パターンを分析することにより、効果的な観光施策を展開してまいります。

(4)誰もが誇りや憧れを抱く安全安心で快適なまちの実現
 都市の魅力を向上させ、まちなかににぎわいを創出するためには、快適性・利便性を高めながら、安全性・歩行者回遊性に優れた空間形成や環境負荷に配慮したまちづくりを行っていく必要があります。
 現在、主に上野・浅草地区において、歩行者中心のまちの形成に向けた検討を進めており、今後、道路空間等を利活用する社会実験や、ICTを活用した効果検証を実施するなど、「居心地が良く歩きたくなる」まちなかを形成してまいります。
 また、地域主体のまちづくりを促進するため、まちづくりに係る諸制度を体系化し、多様な主体が協働して実効性のあるまちづくりを進めることができるよう、「まちづくりに係る総合的な条例」の制定を検討してまいります。
 東京都は、令和4年5月に首都直下地震等による被害想定を10年ぶりに見直しました。区の被害想定は、建物や人的被害などの件数が減少する一方で、閉じ込めにつながり得るエレベーター数は約3倍に増加するなど、新たな課題が生じています。
 そこで、「台東区地域防災計画」の修正を行うとともに、集合住宅に対する防災対策を推進し、防災力の更なる向上を図ってまいります。
 世界では、脱炭素化の動きがさらに加速しており、深刻化する地球温暖化に対し、より積極的かつ具体的に行動していくことが求められています。
 引き続き、区有施設への省エネ設備の導入や家庭・事業所に対する省エネルギー化の普及啓発、使い捨てプラスチックの使用量の削減に取り組むほか、環境基本条例の制定に向けた検討を進めてまいります。 

(5)多様な主体と連携した区政運営の推進
 新型コロナウイルス感染症の発生を契機に、社会全体においてDX(デジタル・トランスフォーメーション)が急速に進展しています。本区も、社会状況の変化に的確に対応し、デジタルの力によって業務効率化と区民サービスの向上の一体的な実現を目指す必要があります。
 そこで、新たな施策として「DXの推進」を位置付け、デジタルに関する最先端技術を活用した業務の効率化を推進し、質の高い行政サービスを提供するとともに、障害の有無や年齢などに関わらず、誰もがICTを利活用出来る社会の実現に向け、リテラシーの向上に取り組んでまいります。
 また、デジタル化への対応や脱炭素社会の実現、将来的な区内人口の減少などを背景に、区有施設に対し求められる機能も変化しています。
 そのため、ファシリティマネジメントの考え方を取り入れ、施設の再編等中長期的な視点を持って効果的・効率的な施設のあり方について検討してまいります。
 さらに、本庁舎は竣工から49年が経過しており、将来的な改築も視野に検討を進めています。
 今後、施設の老朽度や狭あいによる機能の低下、災害対策本部としての機能強化などの諸課題を整理し、公共サービスの拠点施設としてのあり方を検討してまいります。

令和5年度予算案について

 令和5年度予算案につきましては、4月に区長選挙及び区議会議員選挙を控えていることから、政策的な新規・充実事業の経費については、当初予算への計上を原則として見送っています。しかしながら、物価高騰対策や安全安心を確保するための取り組みなど、緊急性や継続性が求められる事業については、区民生活に影響を及ぼすことがないよう必要な経費を計上しております。
 学校給食の食材調達の全面支援など、子育て世帯の食の支援をはじめ、区内公衆浴場に対する燃料費支援や介護・障害福祉サービス等事業者に対する光熱費及び燃料費支援、区内事業者の資金繰りを支援するための借換特別資金の再延長などを実施し、区民生活や事業活動を守り支えてまいります。
 また、こどもクラブの待機児童が増加していることから、「台東区こどもクラブ待機児童対策緊急3か年プラン」に基づき、待機児童解消に向け着実に進めてまいります。
 さらに、施設の安全性や利便性・快適性の向上を図るため、金曾木小学校や田原小学校、東泉小学校、台東リバーサイドスポーツセンター陸上競技場などの大規模改修工事を進めてまいります。


新型コロナワクチン あなたやあなたの大切な方を守るため、早めの接種をお願いします

●引き続き、区内会場でワクチン接種を実施しています
・区内病院や診療所、北上野二丁目特設会場でワクチン接種を実施しています。詳しくは、下記アドレス「区内接種会場一覧」をご確認ください。
※北上野二丁目特設会場では、毎日予約なしで接種を実施しています。区内在勤(学)およびその同居家族の方も対象です。
・4月以降、接種会場を見直す場合がありますので、接種がまだお済みでない方は、早めの接種をお願いします。

●小児(5~11歳)のオミクロン株対応ワクチンについて
 小児(5~11歳)の3回目接種として、オミクロン株対応ワクチン(ファイザー社)が使用される予定です。詳細が決まり
次第、区ホームページ(下記アドレス)等でお知らせします。

●4月以降のワクチン接種について
 4月以降の1年間、特例臨時接種の実施期間を延長する方向で検討されています。詳細が決まり次第、区ホームページ(下記アドレス)等でお知らせします。

▼区内接種会場一覧
https://www.city.taito.lg.jp/kenkohukusi/kenkokikikanrieisei/kansensho/kansenshoyobo/c19vaccine
/sessyukaijyo/sessyuitiran.html

▼新型コロナウイルスワクチンに関する新着情報
https://www.city.taito.lg.jp/kenkohukusi/kenkokikikanrieisei/kansensho/kansenshoyobo/c19vaccine/index.html

問合せ ●台東区コロナワクチン 相談専用ダイヤル
 (午前9時~午後6時、土・日曜日・祝日も対応)
  TEL 03−6834−7410
●厚生労働省新型コロナワクチン コールセンター
 (午前9時~午後9時、土・日曜日・祝日も対応)
  TEL 0120−761−770

区の世帯と人口 【2月1日現在】
※住民基本台帳による
  世帯数  128,687世帯(前月比+137世帯)   人口  207,641人(前月比+162人)

【新型コロナウイルス感染症の影響による保険料の減免制度】お早めに申請してください。
▷申請期限 国民健康保険料・介護保険料は3月31日(金)(必着)、後期高齢者医療保険料は5月31日(水)(必着)
▷問合せ 国民健康保険課 TEL(5246)1252、介護保険課 TEL(5246)1246・1242、
     国民健康保険課後期高齢者保険係 TEL(5246)1491