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六十六部造立石造閻魔王坐像及び両脇侍像

ページID:487839673

更新日:2024年2月26日

長久院
平成9年登載

 この石仏は、中央に閻魔王像えんまおうぞう、右に司命像しめいぞう、左に司録像しろくぞうを配したものです。閻魔王は死者の生前の行いに応じて死後の行く先を決めるという冥界の王者、司命・司録は閻魔王の従者で、司命は閻魔王の判決を言い渡す役、司録は判決内容を記録する役とされています。
 銘文によりますと、この3躰は六十六部の光誉圓心という人物が、享保11年(1726)に造立したものです。六十六部とは、鎌倉時代に発生した聖の一種で「日本回国大乗妙典六十六部経聖にほんかいこくだいじょうみょうてんろくじゅうろくぶきょうひじり」という名称の略。大乗妙典、いわゆる『法華経』を66部書写し、全国66ヶ所の霊場に一部ずつ納めた聖のことをいいますが、江戸時代の六十六部は、法華経の書写を行なう者は少なくなり、代わって石仏・石塔などを各地に造立する者が増えました。経典の書写や石仏・石塔の造立を仏教では「作善さぜん」といい、作善を重ねることは、生前の罪障を滅ぼし、死後は極楽往生に近づくとされました。多くの六十六部たちは自らの、さらには彼らの旅を助けるため米や銭の喜捨を行なった人々の往生を願い、写経や石仏・石塔の造立に励みました。
 ところで、東京都内に現存している六十六部が造立した石仏を調べてみますと、地蔵菩薩像が圧倒的に多く、観音菩薩像がこれに次いでいますが、閻魔王像はきわめて稀のようです。本像は、六十六部の活動が江戸時代の谷中でも行われたことを証明する資料であり、また六十六部造立の石仏では稀なものとして、貴重な文化財のひとつです。

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生涯学習課文化財担当(生涯学習センター)

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