令和4年第1回区議会定例会区長所信表明《要旨》

はじめに



 ワクチン接種が進み、一時は感染者数が大きく減少しましたが、オミクロン株の発生で想定を遥かに超えるスピードで感染が急拡大し、現在も感染者が増え続けています。医療の逼迫に加え、企業活動や様々なサービスが休止・縮小を余儀なくされるなど、社会経済活動に再び大きな影響が及んでいます。
 ワクチンの追加接種については、接種期間を6か月に前倒しし、希望する全ての区民が一日でも早く接種を終えられるよう体制を確保しています。さらに、5歳から11歳までの小児を対象としたワクチン接種についても、3月からの接種開始に向け準備を進めています。また、先月26日より、区内ホテルのご協力をいただき、区立台東病院が医療提供を行う宿泊療養施設を開設しました。
 この危機を乗り越えるため、今一度、区民の皆様一人ひとりに、感染予防対策を徹底していただきますよう切にお願い申し上げます。
 継続して感染症対策に取り組む一方で、区民や事業者の皆様が希望と活力にあふれた明るい未来を描けるよう、持続的な発展に向けて施策を展開していく必要があります。新型コロナウイルス感染症という未曾有の危機の中にあっても、私は本区が持つ「ひと」と「まち」の力を結集し、未来に向けた長期的な視点に立ち、引き続き全力で区政運営に邁進してまいります。


観光と産業に関する
今後の取り組みについて




 未だインバウンド需要の回復の兆しは見えず、また国内需要も感染状況に応じて大きく変動することから、観光関連産業は先の見えない苦境に立たされています。そこで、施策を戦略的に体系化した「台東区の観光復活に向けた方針」を策定し、まちの活力を取り戻し、観光の持続的な発展につなげてまいります。
 地域経済の中核を担う中小企業を取り巻く環境は依然として厳しく、コロナ後を見据えて、生産性の向上や経営基盤の強化を支援していく必要があります。そこで、区内産業を守り、成長に向けた機運が途切れることのないよう、「台東区産業振興推進方針」を策定します。
 私は、本区が誇る観光と産業の力を活かすことで、活力に満ち溢れた台東区を取り戻し、地域活性化の好循環に向けた歩みを進めてまいります。


脱炭素社会の実現について



 近年、国内外で豪雨や猛暑など異常気象が頻発し、気象災害が激甚化しています。このまま地球温暖化が進行すると、気象災害のリスクが一層高まる恐れがあり、気候変動への対応は喫緊の課題です。
 そこで、本区においても、2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロとする、「ゼロカーボンシティ」を目指し、脱炭素社会に向けた取り組みを進めてまいります。具体的には、プラスチックの資源化に向けて、区内の一部で分別収集を行い、区内全域での実施に向けた検証を行います。また、区有施設における省電力型の照明整備の取り組みを加速化します。
 来年度は、環境基本計画の改定に着手するとともに、「ゼロカーボンシティ」の実現に向けた施策を推進し、住む人、働く人、訪れる人にとって魅力のある持続可能なまちを、未来へ継承してまいります。


令和4年度予算案について



 区の財政状況について、歳入では、特別区民税や特別区交付金の増を見込んでいますが、区民生活や景気動向は感染症の影響を受けることから、予断を許さない状況です。一方、歳出では、増大し続ける様々な行政需要を抱えています。
 こうした状況にあっても、コロナ禍における新たな課題や社会経済状況への変化に積極的に対応し、「世界に輝く ひと まち たいとう」の実現を力強く推し進めていかなければなりません。そのため、不安を抱える子育て家庭や高齢者への支援をはじめとした区民生活を支える取り組みや、行政のデジタル化や脱炭素社会の実現に向けた取り組みなどの施策を推進してまいります。また、中・長期的な視点に立ち、持続可能な財政運営が推進できるよう、基金や起債の残高にも留意し、令和4年度予算を編成しました。

(1)区民の生命と健康を守り抜くための取り組み
 地域医療の中核を担う永寿総合病院の更なる機能強化に向け、HCU(高度治療室)の増床にかかる改修経費の補助について、補正予算に計上しました。
 コロナ禍において、フレイルリスクの高まりが懸念されることから、引き続き、自宅などからでも参加できるオンラインによる介護予防講座の取り組みを推進するとともに、通いの場などの住民主体の活動を支援します。
 また、行動制限がかかる時期であっても、コミュニケーションが円滑に行えるよう、家族と離れて暮らす高齢者の世帯などを対象に、テレビ電話機能を備えたコミュニケーションロボットの購入費用の一部を助成します。
 さらに、家庭内や養介護施設における虐待事例が増加傾向にあるため、虐待防止アドバイザーの専門的な知見による個別事例の分析を踏まえ、区民及び養介護施設従事者などに実効性のある指導・助言を行うなど、対応策の充実を図ります。
 がん患者の方々に、医療用ウィッグ及び胸部補正具の購入費助成を実施することで、前向きな療養生活が送られるよう支援を行います。

(2)区民の生活や事業者をしっかり支えるための取り組み
 感染症の長期化は、子供や子育て世帯にも深刻な影響を与えており、更なる支援の拡充や負担軽減が必要です。
 こうした状況を踏まえ、ショートステイの対象年齢を18歳未満に拡大するとともに、新たに緊急ショートステイを実施します。また、いっとき保育の対象年齢を6か月以上の0歳児まで引き下げます。
 さらに、医療的ケア児の成長を地域で支えるため、受け入れ体制を整えた児童発達支援事業所に対し運営費を助成します。
 教育分野においては、ICT教育の更なる推進を図るため、ICT支援員によるサポートを充実させ、教員のスキル向上につなげます。また、来月策定予定の「台東区学校教育情報化推進計画」に基づき、情報活用能力の育成に取り組みます。
 産業分野においては、事業者の資金繰りを支えるため、「台東区経営持続化特別資金」及び「新型コロナウイルス感染症対策借換特別資金」について、受付期間を令和4年9月まで延長します。また、区内事業者のニーズに応じた相談体制の見直しを図り、きめ細かな相談支援に取り組みます。

(3)社会変革を捉えた行政運営の推進と財政基盤の強化に向けた取り組み
 限られた人材と財源の中で、多様化する区民ニーズに迅速かつ的確に対応するためには、業務の効率化をより一層進めていく必要があります。そこで、全庁的に業務の進め方を調査し、業務の自動化の検討や手順の見直し、類似業務の整理などに取り組みます。
 また、デジタル庁が中心となり進めている、地方公共団体の情報システムの標準化・共通化は、人的・財政的な負担の軽減と、行政運営の効率化及びサービスの向上を目的としており、本区も円滑に移行できるよう準備を進めます。
 社会情勢が大きく変化していることなどから、現在検討中の今後のファシリティーマネジメントの考え方と合わせて、「台東区公共施設保全計画」の見直しを進めます。

(4)まちの活力を取り戻し、持続的な発展につなげるための取り組み
 今後の旅行需要の本格的な回復に向けて、旅行代理店を対象にした区内ホテル・旅館などの見学や、ホテル・コンシェルジュなどを対象にした文化体験ツアーを実施し、更なる観光需要の創出を図ります。また、旅行会社の専門的な知見を活かし、新たな旅行商品の企画・造成を通じて、本区の魅力を発信します。
 コロナ禍を契機として「デジタル・トランスフォーメーション」の重要性が高まっており、また、世界的な課題であるSDGsの達成に向けた取り組みも求められています。
 そこで、社会変革に対応する中小企業を支援するため、ECサイトやキャッシュレス決済の導入に係る経費の一部を助成します。また、新たな市場の開拓や新製品・新技術の開発を引き続き支援し、その内容がSDGsの達成に向け優れた取り組みである場合には、上乗せして助成を行います。さらに、新たな経済活動の創出と地域の活性化を図るため、特色あるビジネスモデルへの取り組みや、地域の賑わいに繋がる活動を行う多種多様な事業者のネットワークを支援します。


災害対策について



 大規模災害から区民の生命と財産を守るため、災害が発生した際に応急対応を行う人的・物的支援について、昨年12月には「東京都と区市町村間の災害時等協力協定」を、来月には、区内の3つの消防署と「災害時における罹災証明発行に関する協定」を締結し、迅速かつ的確な災害対応を実施する体制を更に強化します。
 今後も、台東区地域防災計画を踏まえ、地震災害や風水害の予防対策、応急・復旧対策及び復興対策の充実を図ることで、「災害に強い台東区」の実現に向けて取り組みを推進します。


おわりに



 ポストコロナの未来を切り拓くため、区政運営の長期的指針である長期総合計画を修正し、社会経済状況の変化を的確に捉え、更なる発展に向けた道筋を示します。また、多様な主体が協働して実効性のあるまちづくりを進めるため、「(仮称)まちづくり誘導方針」を策定します。
 「ひと」と「まち」が輝く明るい未来を築き上げるため、新型コロナウイルス感染症への対応に万全を期すとともに、コロナ禍で浮き彫りになった課題に迅速に対応し、各分野の施策を着実に推進します。そして、区民の皆様、区議会の皆様とともに、新しい時代を切り拓くための歩みを進めてまいりたいと思いますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。


新型コロナウイルスワクチンは接種券が届き次第予約できます
積極的なワクチン接種を!

2回目接種日の6か月経過後から接種できます。早めの接種をお願いします。早期に接種ができるモデルナ会場の予約をご検討ください。
●小児(5~11歳)の接種券を発送します
接種券発送日 2月21日(月)
接種開始時期 3月上旬以降
使用するワクチン 小児用ファイザーワクチン(12歳以上用ファイザーワクチンと濃度や用量が異なります)
接種回数・間隔 3週間の間隔をおいて2回接種※予約できる病院・集団接種会場・診療所は区ホームページ(下記URL)等でご確認ください。
▼接種会場一覧
https://www.city.taito.lg.jp/kenkohukusi/kenkokikikanrieisei/kansensho/kansenshoyobo/c19vaccine/
schedule/5-11sai.html

予約方法 台東区コロナワクチン コールセンター(午前9時~午後6時、土・日曜日・祝日も対応) TEL 03-4332-7912へ電話予約
※インターネット予約は受付けておりません。※小児接種について詳しくは、厚生労働省HP(下記URL)をご確認ください。
▼厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_for_children.html
●1・2回目接種後に台東区へ転入した18歳以上の方へ 追加接種を受けるには接種券発行の申請が必要です
該当する方は、3回目用接種券発行の申請をお願いします。詳しくは、区ホームページ(下記URL)をご確認ください。
▼接種券発行について
https://www.city.taito.lg.jp/kenkohukusi/kenkokikikanrieisei/kansensho/kansenshoyobo/c19vaccine/shitumontokaitou/
sesshuken-3kaime.html

※2月15日時点の情報に基づき作成しています。


区の世帯と人口 【 2月1日現在】
※住民基本台帳による
 世帯数  124,254世帯(前月比+73世帯)   人 口  203,775人(前月比+66人)