フランス政府とル・コルビュジエ財団が中心となり、建築家ル・コルビュジエが設計した代表的な建築作品を一括して国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産リストに登録することが計画されました。
フランス政府は、ル・コルビュジエが日本で唯一設計した国立西洋美術館を構成資産の一つとして推薦するため、日本政府に対して協力要請を行いました。2007(平成19)年9月14日、日本政府は、国立西洋美術館を世界文化遺産の候補として、ユネスコの世界遺産暫定リストに記載しました。そして同年12月21日、国の重要文化財(建造物)に指定しました。
2008(平成20)年2月1日、国立西洋美術館を含む「ル・コルビュジエの建築と都市計画」が世界遺産に推薦されました。
この度の推薦は、関係6ヵ国(フランス・スイス・ベルギー・ドイツ・アルゼンチン・日本)に点在するル・コルビュジエの建築作品をフランス政府が取りまとめて、一括して世界遺産リストへの登録を目指すものです。
※最新の改定推薦書「ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献―」はこちら
「ル・コルビュジエの建築と都市計画」の文化遺産としての価値
世界遺産に登録されるためには、「顕著で普遍的価値」を有していることが必要です。 世界遺産登録を目指す「ル・コルビュジエの建築と都市計画」は、評価基準のうち、1、2、4の基準に該当します。
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1.人間の創造的才能を表す傑作である。
ル・コルビュジエの作品群は、20世紀建築において新たな問題を探り、前例のない答えを見出したものです。ル・コルビュジエの創造的才能は、住宅から都市計画まで幅広くその作品に見られ、単に独創的な創造物にとどまらず、世界中の建築や都市計画が採用する解決策を先取りしたものです。
2.建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値観の交流又はある文化圏内での価値観の交流を示すものである。
ル・コルビュジエの作品群は、「近代建築運動」と呼ばれる20世紀における建築と都市計画の主流をなす手法の誕生と発展を物語るものであり、近代建築運動において極めて重要な影響を与えたものです。
4.歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本である。
インターナショナルスタイルと機能主義を含むル・コルビュジエの思想は、20世紀の建築や都市計画に多大な影響を与え、今日でも多くの建築家や都市計画家が共有する文化的な土台をなしています。 |
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【参照】当初推薦書「ル・コルビュジエの建築と都市計画」 |
区 分 |
建築物の名称 |
国 名 |
設計完了年 |
アトリエ |
ギエット邸 |
ベルギー |
1926 |
クック邸 |
フランス |
1926 |
個人邸宅 |
ジャンヌレ邸 |
スイス |
1912 |
シュウォブ邸 |
スイス |
1916 |
ラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸 |
フランス |
1923 |
レマン湖畔の小さな家 |
スイス |
1923 |
サヴォア邸 |
フランス |
1928 |
クルチェット邸 |
アルゼンチン |
1949 |
ジャウル邸 |
フランス |
1951 |
規格住宅 |
ぺサックの集合住宅 |
フランス |
1924 |
ヴァイセンホフ・ジードルング の住宅 |
ドイツ |
1927 |
カップ・マルタンの小屋 |
フランス |
1951 |
集合住宅 |
救世軍難民院 |
フランス |
1929 |
イムーブル・クラルテ |
スイス |
1930 |
スイス学生会館 |
フランス |
1930 |
ナンジュセール・エ・コリ通り のアパート |
フランス |
1931 |
マルセイユのユニテ |
フランス |
1945 |
宗教建築 |
ロンシャンの礼拝堂 |
フランス |
1950 |
ラ・トゥーレットの修道院 |
フランス |
1953 |
標準大型
建築 |
サン・ディエ工場 |
フランス |
1946 |
国立西洋美術館(本館) |
日本 |
1957 |
都市計画 |
フェルミニの建築物群 |
フランス |
1953
~1965 |
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当初は6カ国22資産を推薦しました。 |
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国立西洋美術館(本館)
(日本 1957年) |
ロンシャンの礼拝堂
(フランス 1950年) |
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サヴォア邸
(フランス 1928年) |
マルセイユのユニテ・ダビタシオン
(フランス 1945年) |
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