このページの先頭です
このページの本文へ移動

令和3年第1回区議会定例会区長所信表明

ページID:191468043

更新日:2021年2月12日

はじめに

 令和3年第1回区議会定例会の開会にあたり、私の区政運営に対する所信を申し述べ、区議会及び区民の皆様のご理解、ご協力を賜りたいと存じます。
 まず、新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご家族の方々に謹んでお悔やみを申し上げます。また、罹患された方々に心よりお見舞い申し上げます。
 新型コロナウイルスとの闘いが始まって1年余りが経過しました。この間、区民や事業者の皆様には、不要不急の外出自粛や営業時間の短縮などの要請にご理解とご協力をいただきまして、深く感謝を申し上げます。
 また、今日に至るまで、日々最前線で奮闘されている医療従事者の皆様、そして、コロナ禍の厳しい状況の中、社会生活を維持するために不可欠な業務に従事する皆様のご尽力に、改めまして、心から敬意を表します。
 1月7日に再び発出された緊急事態宣言は、今月2日に1か月間の延長が決定されました。今なお、我が国における感染の拡大は続き、一日の感染者数も高い水準で推移しており、依然として厳しい局面にあります。
 都内の感染状況は最も高い警戒レベルとなっており、医療提供体制についてもひっ迫した状況が続いています。
 この間、本区においても感染拡大防止に向け、国や東京都と連携を図り、全力で対策に取り組んでまいりましたが、感染の確認は続いており、予断を許さない状況です。
 何としてもこれ以上の感染拡大を食い止めるためには、区民や事業者の皆様の更なるご協力が不可欠です。
 今一度、マスクの着用や手洗いといった基本的な感染防止対策に加え、不要不急の外出の自粛などを徹底していただき、「うつらない」そして「うつさない」という意識を常に持って行動していただくようお願いを申し上げます。
 自分を守り、家族を守り、大切な人を守り、地域を守るため、全区民一丸となってこの難局を乗り越えていきましょう。

今後の区政の考え方について

 それでは、まず「今後の区政の考え方」について申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症が世界的に蔓延する中、昨年4月に特別措置法に基づく緊急事態宣言が発出され、不要不急の外出自粛や小中学校の臨時休業、経済活動の大幅な縮小など、区民生活や区内経済は極めて深刻な影響を受けることになりました。
 こうした状況を踏まえ、区では、永寿総合病院の医療提供体制の強化に向けた支援や、区内中小企業の経営の安定化を図るための特別融資の実施など、区民や事業者の皆様を守り支えるための取り組みを着実に推進してまいりました。
 しかしながら、昨年12月には首都圏を中心に感染者数は過去最高を更新する状況となったことから、1月に再度、緊急事態宣言が発出されました。経済活動は再び縮小を余儀なくされ、区内事業者は深刻な打撃を受けています。
 今後も、感染拡大の波が繰り返されることが危惧される「ウィズコロナの時代」を生き抜いていくためには、「安全安心な暮らしの確保」を基本に、「感染拡大防止」と「社会経済活動の活性化」との調和を図っていくことが重要です。
 そのため、「区民の生命と健康を守り抜く」、「区民の生活や事業者をしっかり支える」、「社会変革を捉えた行政運営の推進と財政基盤の強化」、「まちの活力を取り戻し、持続的な発展につなげる」の4つの柱を基に区政を推進し、感染症や社会経済活動の状況に応じて、4つの柱の比重を適切に調整しながら迅速に施策を展開してまいります。

令和3年度予算案について

 次に、令和3年度予算案について申し上げます。
 国は、令和3年度の経済見通しについて、年度中にはコロナ前の水準に回帰すると見込んでいますが、経済の下振れリスクに十分注意する必要があるとしています。
 しかしながら、未だ感染症の収束が見通せない中、私は、景気の先行きは極めて厳しい状況と認識しており、経済活動の制約に伴う雇用・所得環境の悪化を大変危惧しています。
 区の財政状況についても、先行きは極めて厳しい状況にあり、歳入では、その根幹をなす特別区交付金や特別区税の減を見込んでおり、不合理な税制改正や感染症の影響により、数年にわたり減収が続くことは必至です。
 一方、歳出では、感染症対策をはじめ、子育て家庭や高齢者・障害者への支援、災害対策の強化、区有施設の保全など、様々な行政需要が増大しており、今後、これまで以上に厳しい財政運営を強いられるものと考えています。
 こうした状況にあっても、区民の命と暮らしを守り、「ひと」と「まち」が輝く明るい未来を築き上げていくための取り組みを、時機を逸することなく講じていかなければなりません。そのためには、持続可能な財政基盤を堅持することが不可欠であり、既定事業について、これまでの慣習や前例にとらわれることのない経費縮減に努めるとともに、施設の大規模改修等についても、更なる経費の平準化を図っています。加えて、基金や起債の積極的な活用により必要な財源を確保し、令和3年度予算を編成しました。
 それでは、区政運営における4つの柱に基づく主な取り組みについて申し上げます。

区民の生命と健康を守り抜く

 まず、「区民の生命と健康を守り抜く」ための取り組みについて申し上げます。
 感染症対策の決め手となるワクチンについては、現在、国や都の動向を踏まえながら、本区における円滑な接種体制の確保に向け、鋭意、調整を行っております。経費についても、本日、補正予算を提出させていただきました。一刻も早く区民の皆様へワクチンを接種できるよう、医師会などのご協力を得ながら全力で準備を進めてまいります。
 本区においても新たな感染の確認は続いていることから、感染症対策を確実に推進していくために、保健所の人員体制の拡充を図ってまいります。
 また、地域の医療提供体制を維持していくために、厳しい経営状況が続いている、本区の中核病院である永寿総合病院に対する支援を引き続き行ってまいります。
 さらに、新型コロナウイルスに感染した場合の重症化リスクは、高齢者や基礎疾患を有する方において高くなる傾向にあることから、より徹底した感染症対策が必要です。そのため、特別養護老人ホームなどの入所予定者に対するPCR検査の実施や、介護・障害福祉サービスを提供する事業者が行う感染症対策への支援などに、引き続き取り組んでまいります。
 加えて、ご自宅で介護にあたる家族などが新型コロナウイルスに感染した場合には、介護を受けていた方への支援が必要となります。そのため、ご自宅へのヘルパー派遣や、ショートステイ施設の活用などにより、安心な生活の確保を図ってまいります。

区民の生活や事業者をしっかり支える

 次に、「区民の生活や事業者をしっかり支える」ための取り組みについて申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、先が見えない不安を抱える子育て家庭が増加しています。そこで、親の就労や家庭事情などにより、孤立しがちな子供やその家庭に居場所の提供を行う団体への支援を拡充することで、子育て家庭の負担軽減を図ってまいります。
 また、昨年4月には、小中学校の臨時休業が余儀なくされたことから、1人1台のタブレットパソコンを早期に配備できるよう取り組んできたところです。引き続き、小中学校におけるICT機器を活用した学習環境の充実を図ることで、臨時休業時などにおいても学びを止めない教育の更なる実現を図ってまいります。
 さらに、社会経済状況の急激な変化により、子供のストレスの増加などが懸念されています。そのため、スクールソーシャルワーカーを増員し、児童・生徒が抱える問題の解決に向けて体制を充実してまいります。
 再び発出された緊急事態宣言に伴い、経済活動は大幅に制限されています。現在、区では緊急経営相談ダイヤルの受付日時の拡充や、都協力金などの申請相談会を開催することで、区内事業者の支援に全力で取り組んでいますが、今後も厳しい状況が続くことが見込まれます。
 そこで、台東区経営持続化特別資金について、申込期限を本年9月まで延長するとともに、特別相談窓口を4月以降も引き続き実施するなど、区内事業者を守り、支えるための取り組みを実施し、区内経済の回復につなげてまいります。

社会変革を捉えた行政運営の推進と財政基盤の強化

 次に、「社会変革を捉えた行政運営の推進と財政基盤の強化」に向けた取り組みについて申し上げます。
 感染症の影響による社会状況の変化に伴い、行政のデジタル化の重要性が一層高まっています。
 そのため、スマートフォンやタブレット端末を活用して、区民が窓口において、待たずに、書かずに申請できる「スマート窓口」の整備に取り組み、接触機会の低減や来庁時の負担軽減を図るとともに、区役所に出向くことなく必要な手続きを完結できるよう、行政手続きのオンライン化の拡大を図ります。
 また、窓口における手数料や公共施設の使用料などのキャッシュレス決済を推進し、区民の利便性向上や外出機会の低減などによる感染防止を図ってまいります。
 さらに、コロナ禍において、在宅勤務における業務の生産性向上などが課題となったことから、職員が自宅などにおいて、より効率的に業務に取り組めるよう、テレワーク環境の整備を進めてまいります。
 加えて、感染症の影響による減収や、増大する行政需要に適切に対応していくためには、効果的・効率的な区政運営や、財政基盤の強化を図っていくことが必要です。そこで、更なる事業の見直しや歳入確保に努めてまいります。

まちの活力を取り戻し、持続的な発展につなげる

 次に、「まちの活力を取り戻し、持続的な発展につなげる」ための取り組みについて申し上げます。
 新型コロナウイルスの感染拡大により、伝統的なお祭りや花火など様々な行事が中止となりました。また、不要不急の外出自粛や入国制限などにより、来街者は大きく減少するなど、多くの区内事業者が甚大な影響を受けています。
 さらに、上野に集積する美術館や博物館といった文化施設も休館となり、様々な文化芸術活動も中止となるなど、まちの活力は大きく失われています。
 この厳しい状況を乗り越えていくためには、区民の皆様とともに前を向いて、まちの活気を取り戻し、人々の心を豊かにするための取り組みが重要であると考えています。
 そこで、事業者の競争力や経営力の向上を図るために、産業振興事業団において、事業の転換や多角化など新たなビジネスに取り組むための支援制度を開始したところです。
 また、台東区商店街連合会が実施する売出し事業への支援を拡充し、落ち込んだ消費の喚起を図り、区内経済の活性化につなげてまいります。
 さらに、コロナ禍にあっても、皆様が文化に親しめるよう、区立文化施設における作品展や演奏会など、ウェブサイトでの情報発信を充実してまいります。
 本年7月には、国立西洋美術館が世界文化遺産登録5周年を迎えます。私は、明るい話題を皆様にお届けしたいと考えており、記念式典をはじめ講演会や特別展など、この節目の年をお祝いするための事業を、感染症対策を徹底したうえで実施いたします。引き続き、「世界遺産のあるまち 台東区」の魅力を発信するとともに、この貴重な文化資源を将来の世代に着実に継承してまいります。
 以上が、区政運営における4つの柱に基づく主な取り組みです。

災害対策について

 次に、災害対策について申し上げます。
 激甚化・頻発化する豪雨災害や、切迫している巨大地震から区民の生命と財産を守るために、災害対策の更なる強化は喫緊の課題です。そのため、大規模自然災害に備え、防災・減災を着実に進めていく指針となる「国土強靭化地域計画」を新たに策定し、区の特性を踏まえた施策を総合的かつ計画的に推進してまいります。
 想像を超える力で襲ってくる災害から身を守るためには、日頃からの備えとともに、発災時に冷静に行動することも重要です。そのため、区民や来街者が正確な情報を迅速に取得するための防災アプリについては、風水害時の情報発信を強化するなど、機能拡充を図ってまいります。また、「台東区風水害対応方針」を踏まえて内容を改定した水害ハザードマップを全戸に配布するなど、区民の防災意識の更なる醸成に向け取り組んでまいります。
 さらに、災害発生によって引き起こされる大規模な停電に備え、民間事業者と災害時における給電自動車の貸与に関する協定を締結いたしました。加えて、防災団やマンション管理組合が整備する非常用発電機などの電源確保資材の購入についても、支援を充実することで、必要な電源を確保できる環境を整備してまいります。

長期総合計画の改定について

 次に、長期総合計画の改定について申し上げます。
 新型コロナウイルスの感染拡大により、日々の生活や経済活動は様々な制約を受けるなど、区民や事業者は甚大な影響を受けています。
 一方で、感染症の影響により、テレワーク・時差出勤の導入による働き方改革やデジタル社会の形成に向けた取り組みなど、社会の変革が加速し、人々の意識や価値観、行動も変化しています。また、経済の悪化に伴う税収の減や、行政需要の増大などにより、区財政は予断を許さない状況が続くと見込まれます。
 今後も、基本構想に掲げる将来像「世界に輝く ひと まち たいとう」の着実な実現を図っていくためには、昨今の社会経済状況の変化などを踏まえ、効果的・効率的に施策を展開していく必要があります。
 そこで、来年度より、区政運営の長期的指針である長期総合計画の改定に着手してまいります。改定にあたっては、区議会や区民の皆様をはじめ、学識経験者や地域団体の代表など、幅広くご意見を伺いながら検討を進めてまいりますので、ご協力をよろしくお願い申し上げます。

おわりに

 最後に申し上げます。
 本年は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。開催都市東京の一員として、国や東京都と連携し、大会の開催に向け尽力してまいります。
 新型コロナウイルス感染症の世界的大流行という未曽有の危機の中、私は、基礎的自治体の長として、何よりも大切な区民の命と暮らしを守り抜く。そして、コロナ禍を乗り越えたその先の明るい未来を切り拓くために、将来像である「世界に輝く ひと まち たいとう」を実現していく。この決意を胸に刻み、本年も全力で区政に邁進してまいりますので、区議会の皆様、区民の皆様のご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。
 なお、本定例会には「令和3年度東京都台東区一般会計予算」ほか、20件の議案を提出しています。よろしくご審議のうえ、いずれも可決賜りますようお願い申し上げます。
 以上をもって私の発言を終わらせていただきます。

(注 本文は口述筆記ではないため、表現その他若干の相違があります。)


服部区長

お問い合わせ

企画課

電話:03-5246-1012

ファクス:03-5246-1019

本文ここまで

サブナビゲーションここまで