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令和5年第1回区議会定例会区長所信表明

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更新日:2023年2月17日

はじめに

 令和5年第1回区議会定例会の開会にあたり、私の区政運営に対する所信を申し述べ、区議会及び区民の皆様のご理解、ご協力を賜りたいと存じます。
 私が区民の皆様のご信託を得て台東区長に就任してから、間もなく2期8年が経ちます。私は、区政運営の最高指針である新たな基本構想を策定し、将来像である「世界に輝く ひと まち たいとう」を実現するため、常に区民や事業者の皆様に寄り添いながら、台東区の更なる発展に向け全力を尽くしてまいりました。
 また、この間、我が国は「令和」という新たな時代を迎えました。私は「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」という意味が込められたこの時代が、支え合いを基調とする地域性や多彩で粋な文化のある本区にとりまして、大きな飛躍を遂げる時代が始まると考えていました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症という未曾有の危機は、私たちの生活を一変させ、今なお暮らしや事業活動に影響を与えています。
 そのような状況の中、私は、区民の生命と健康、そして生活を守り抜くため、ワクチン接種をはじめとする感染症対策に全庁をあげて取り組んできました。これまで、ご支援・ご協力いただきました区議会議員の皆様をはじめ、区民や事業者の皆様、そして今日に至るまで、最前線で奮闘されてこられた医療従事者や介護従事者の皆様に、改めて感謝申し上げます。
 現在、ウクライナ情勢の影響による原油価格や物価の高騰、さらには為替変動により、我が国の社会経済は大変厳しい状況にあります。
 本区はこれまで、区内公衆浴場に対する燃料費支援や介護・障害福祉サービス等事業者に対する光熱費及び燃料費支援を実施してまいりました。
 また、子供の買い物応援のため、「こども商品券」を配布した他、学校給食の食材調達の全面支援、幼稚園・こども園・保育園などへの副食費等補助、子供食堂等実施団体への支援による子育て世帯への食の支援拡充も実施しました。
 未だ、幅広い分野で値上げの動きがみられることから、今後も必要な対策を迅速に講じていく必要があります。
 私は、これらの対策に加え、本区が将来にわたり、魅力にあふれ活力に満ちた都市であり続けられるよう、全力で区政運営に邁進してまいります。

今後の区政運営について

 次に、今後の区政運営について申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症の影響に加え、孤独・孤立問題などの顕在化、働き方改革及びデジタル化の急速な進展など、本区を取り巻く社会経済状況は大きく変化しています。
 これらの変化を的確に捉え、効果的・効率的に施策を展開していく必要があることから、区政運営の長期的指針である長期総合計画の一部修正を進めてまいりました。
 それでは、長期総合計画の主な施策について、基本目標ごとに申し上げます。 

あらゆる世代が生涯にわたって成長し輝くまちの実現

 はじめに、「あらゆる世代が生涯にわたって成長し輝くまちの実現」についてです。
 子供は輝かしい未来への希望であり、子供たちの健やかな成長を支えることは、区としての責務でもあります。そのためには、区民が安心して子供を産み育て、子育ての喜びを実感できることが何よりも大切です。
 妊産婦や子供、若者など一人ひとりに応じた支援を推進するため、「こども家庭センター」の機能を包含した「(仮称)北上野二丁目福祉施設」の整備を進めてまいります。
 新型コロナウイルス感染症は、学校教育にも大きな影響を及ぼしました。区では、「学びを止めない学校教育」を確立させるため、ICT教育における「1人1台端末」の配備を実現するとともに、「台東区学校教育情報化推進計画」の策定により、児童・生徒の情報活用能力の育成に努めています。
 変化の激しい予測困難な今日において、世界に飛躍し未来を創造する子供を育むため、教育委員会と連携し、教育環境の更なる充実を図ってまいります。
 また、人生100年時代の到来や「Society5.0」の実現に向けた取り組みが進む中、生涯学習の重要性が一層高まっており、区民が生涯にわたって自ら学習に取り組み、学んだ成果を社会に活かすことで、誰もが生きがいのある心豊かな生活を享受できる環境を整備することが重要です。
 そこで、ICTを活かした学習環境の充実や図書館機能の拡充など、「台東区生涯学習センター」の機能強化を行い、多様なニーズや主体に対応した生涯学習環境を整備してまいります。

いつまでも健やかに自分らしく暮らせるまちの実現

 次に、「いつまでも健やかに自分らしく暮らせるまちの実現」についてです。
 新型コロナウイルス感染症などの健康危機が発生した際に、区民の生命と健康を守るためには、迅速かつ的確に対応できる体制の整備が重要です。
 区では、計画的な資器材の備蓄や医師会をはじめとした関係機関との協議会の開催、また感染症の蔓延防止を図るための訓練の実施など、感染症対応の経験を踏まえた対策を進めています。
 今後もこうした取り組みを継続し、健康危機管理を推進してまいります。
 本区の75歳以上の人口は増加傾向にあり、今後、要支援・要介護者や認知症高齢者も増えていくことが予測される中、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、福祉サービスの充実を図っていく必要があります。
 そのため、「(仮称)竜泉二丁目福祉施設」の整備を進め、区立特別養護老人ホームの増床や障害者の高齢化を見据え共生型のサービスを提供してまいります。
 また、本区の障害者施策の中核を担ってきた松が谷福祉会館について、その機能を新たに整備する「(仮称)北上野二丁目福祉施設」に引き継ぐとともに、機能充実に向けた検討を重ねています。
 引き続き、適切な相談支援とサービス提供体制の整備に取り組み、障害の状況や生活環境など一人ひとりに寄り添った支援を行ってまいります。

活力にあふれ多彩な魅力が輝くまちの実現

 次に、「活力にあふれ多彩な魅力が輝くまちの実現」についてです。
 我が国においては、生産年齢人口の減少に伴う人手不足の深刻化に加え、新型コロナウイルス感染症や、物価上昇等により、区内事業者にも大きな影響が及んでいます。
 そこで、経営力の向上を図り、新たな挑戦・成長を後押しするため、ビジネス支援ネットワークを通じて、専門相談員による支援体制の強化や、新製品・新技術の開発、販路開拓などを支援し、区内中小企業の競争力を高めてまいります。
 また、観光客の意識・行動の変化など、観光を取り巻く環境も著しく変化しています。
 観光の持続可能な発展を推進するためには、多様化する観光ニーズを的確に把握し、観光客の嗜好や特性を踏まえた誘客、回遊性の向上が不可欠です。
 そのため、「台東区観光統計・マーケティング調査」や民間企業が提供する人流データ等、得られた情報を基に観光客の滞在時間や回遊の行動パターンを分析することにより、効果的な観光施策を展開してまいります。

誰もが誇りや憧れを抱く安全安心で快適なまちの実現

 次に、「誰もが誇りや憧れを抱く安全安心で快適なまちの実現」についてです。
 令和3年度に実施した人口推計において、区の人口は当面は増加を続けますが、将来的には減少していくと見込まれています。都市の魅力を向上させ、まちなかににぎわいを創出するためには、快適性・利便性を高めながら、安全性・歩行者回遊性に優れた空間形成や環境負荷に配慮したまちづくりを行っていく必要があります。
 現在、主に上野・浅草地区において、歩行者中心のまちの形成に向けた検討を進めており、今後、道路空間等を利活用する社会実験や、ICTを活用した効果検証を実施するなど、「居心地が良く歩きたくなる」まちなかを形成してまいります。
 また、「台東区都市計画マスタープラン」に示す将来像の実現や良好な市街地の形成を図るためには、地域主体のまちづくりを促進するための仕組みづくりが必要です。
 まちづくりに係る諸制度を体系化し、多様な主体が協働して実効性のあるまちづくりを進めることができるよう、「まちづくりに係る総合的な条例」の制定を検討してまいります。
 東京都においては、令和4年5月に首都直下地震等による被害想定を10年ぶりに見直しました。区の被害想定は、建物や人的被害などの件数が減少する一方で、閉じ込めにつながり得るエレベーター数は約3倍に増加するなど、新たな課題が生じています。
 そこで、「台東区地域防災計画」の修正を行うとともに、集合住宅に対する防災対策を推進し、防災力の更なる向上を図ってまいります。
 世界では、脱炭素化の動きがさらに加速しています。
 本区においても、2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロとする「ゼロカーボンシティ」を目指すことを宣言しました。深刻化する地球温暖化に対し、より積極的かつ具体的に行動していくことが求められています。
 引き続き、区有施設への省エネ設備の導入や家庭・事業所に対する省エネルギー化の普及啓発、使い捨てプラスチックの使用量の削減に取り組むほか、環境基本条例の制定に向けた検討を進めてまいります。

多様な主体と連携した区政運営の推進

 次に、「多様な主体と連携した区政運営の推進」についてです。
 新型コロナウイルス感染症の発生を契機に、社会全体においてDX(デジタル・トランスフォーメーション)が急速に進展しています。本区においても、社会状況の変化に的確に対応し、デジタルの力によって業務効率化と区民サービスの向上の一体的な実現を目指す必要があります。
 そこで、新たな施策として「DXの推進」を位置付け、デジタルに関する最先端技術を活用した業務の効率化を推進し、質の高い行政サービスを提供するとともに、障害の有無や年齢などに関わらず、誰もがICTを利活用出来る社会の実現に向け、リテラシーの向上に取り組んでまいります。
 また、デジタル化への対応や脱炭素社会の実現、将来的な区内人口の減少などを背景に、区有施設に対し求められる機能も変化しています。
 そのため、ファシリティマネジメントの考え方を取り入れ、施設の再編等中長期的な視点を持って効果的・効率的な施設のあり方について検討してまいります。
 さらに、本庁舎は竣工から49年が経過しており、将来的な改築も視野に検討を進めています。
 今後、施設の老朽度や狭あいによる機能の低下、さらには災害対策本部としての機能強化などの諸課題を整理し、公共サービスの拠点施設としてのあり方を検討してまいります。

令和5年度予算案について

 次に、令和5年度予算案について申し上げます。
 令和5年度予算案につきましては、4月に区長選挙及び区議会議員選挙を控えていることから、政策的な新規・充実事業の経費については、選挙後の新たな区議会において、改めてご審議いただくべきものと判断し、当初予算への計上を原則として見送っております。
 しかしながら、物価高騰対策や安全安心を確保するための取り組みなど、緊急性や継続性が求められる事業につきましては、区民生活に影響を及ぼすことがないよう必要な経費を計上しております。
 それでは、来年度の予算事業の一部について申し上げます。
 1月の東京都区部における消費者物価指数は、前年同月比で41年8か月ぶりに4.3%上昇し、物価の高騰は依然として予断を許さない状況です。
 引き続き、学校給食の食材調達の全面支援など、子育て世帯の食の支援をはじめ、区内公衆浴場に対する燃料費支援や介護・障害福祉サービス等事業者に対する光熱費及び燃料費支援、区内事業者の資金繰りを支援するための借換特別資金の再延長などを実施し、区民生活や事業活動を守り支えてまいります。
 また、こどもクラブにおける待機児童は増加しており、解消に向けた環境の整備は急務であると考えています。児童の健全な育成を図り、保護者の仕事と子育ての両立を支援するため、「台東区こどもクラブ待機児童対策緊急3か年プラン」に基づき、待機児童解消に向け着実に進めてまいります。
 さらに、施設の安全性や利便性・快適性の向上を図るため、金曾木小学校や田原小学校、東泉小学校をはじめとした教育施設の他、台東リバーサイドスポーツセンター陸上競技場などの大規模改修工事を進めてまいります。
 なお、本定例会には「令和5年度東京都台東区一般会計予算」ほか22件の議案を提出しています。よろしくご審議のうえ、いずれも可決賜りますようお願い申し上げます。

(注 本文は口述筆記ではないため、表現その他若干の相違があります。)


服部区長

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企画課

電話:03-5246-1012

ファクス:03-5246-1019

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