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令和4年第1回区議会定例会区長所信表明

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更新日:2022年2月9日

はじめに

 令和4年第1回区議会定例会の開会にあたり、私の区政運営に対する所信を申し述べ、区議会及び区民の皆様のご理解、ご協力を賜りたいと存じます。
 まず、新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご家族の皆様に謹んでお悔やみ申し上げます。また、罹患され闘病生活を送られている方々に心よりお見舞い申し上げます。
 さらに、医療従事者や介護従事者をはじめとした、感染症への対応に大変なご尽力いただいている皆様に、深い敬意を表すとともに、改めまして感謝を申し上げます。
 感染拡大への不安やストレスを抱え、日常生活に大きな影響を受ける中、区民や事業者の皆様には、継続的に感染症対策に取り組んでいただきました。ワクチン接種が進み、一時は感染者数が大きく減少しましたが、オミクロン株の発生で想定を遥かに超えるスピードで感染が急拡大し、現在も感染者が増え続けています。医療の逼迫に加え、企業活動や様々なサービスが休止・縮小を余儀なくされるなど、社会経済活動に再び大きな影響が及んでおり、改めて一人ひとりの基本的な感染予防対策の徹底が重要です。
 ワクチンの追加接種については、接種期間を6か月に前倒しし、希望する全ての区民が一日でも早く接種を終えられるよう体制を確保しています。さらに、5歳から11歳までの小児を対象としたワクチン接種についても、3月からの接種開始に向け準備を進めています。
 ワクチンの効果は時間の経過に伴い低下することから、感染や重症化を予防するためにも、追加接種が重要です。医師会や医療機関などの関係機関と連携し、安心して円滑にワクチン接種を受けられるよう取り組んでまいります。
 また、先月26日より、区内ホテルのご協力をいただき、区立台東病院が医療提供を行う宿泊療養施設を開設しました。引き続き、東京都と連携して感染症対策を推し進めてまいります。
 この危機を乗り越えるため、今一度、区民の皆様一人ひとりに、感染予防対策を徹底していただきますよう切にお願い申し上げます。
 本区においてはこれまで、感染防止と社会経済活動の両立に向けた取り組みを進めてきました。継続して感染症対策に取り組む一方で、区民や事業者の皆様が希望と活力にあふれた明るい未来を描けるよう、持続的な発展に向けて施策を展開していく必要があります。
 新型コロナウイルス感染症という未曾有の危機の中にあっても、私は本区が持つ「ひと」と「まち」の力を結集し、未来に向けた長期的な視点に立ち、引き続き全力で区政運営に邁進してまいります。

観光と産業に関する今後の取り組みについて

 それでは、「観光と産業に関する今後の取り組み」について申し上げます。
 未だインバウンド需要の回復の兆しは見えず、また国内需要も感染状況に応じて大きく変動することから、観光関連産業は先の見えない苦境に立たされています。「国際観光都市 台東区」の復活にあたっては、まず道筋を示し、想定されるリスクに十分に備え、安全安心な旅行環境を確保する必要があります。
 そこで、施策を戦略的に体系化した「台東区の観光復活に向けた方針」を策定し、まちの活力を取り戻し、観光の持続的な発展につなげてまいります。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、地域経済の中核を担う中小企業を取り巻く環境は依然として厳しく、コロナ後を見据えて、生産性の向上や経営基盤の強化を支援していく必要があります。また、産業分野のデジタル化など、変化のスピードはめまぐるしく、迅速かつ柔軟な対応が求められています。
 そこで、区内産業を守り、成長に向けた機運が途切れることのないよう、「台東区産業振興推進方針」を策定いたします。
 私は、本区が誇る観光と産業の力を活かすことで、活力に満ち溢れた台東区を取り戻し、地域活性化の好循環に向けた歩みを進めてまいります。

脱炭素社会の実現について

 次に、地球環境を保全し持続可能な社会の構築を目指す、「脱炭素社会の実現に向けた取り組み」について申し上げます。
 近年、国内外で豪雨や猛暑など異常気象が頻発し、気象災害が激甚化しています。昨年イギリスで開催されたCOP26では、世界の気温上昇を1.5度に抑える方向性を明確化し、各国に対し、より一層強い姿勢での取り組みを求めました。このまま地球温暖化が進行すると、気象災害のリスクが一層高まる恐れがあり、気候変動への対応は喫緊の課題です。
 そこで、本区においても、2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロとする、「ゼロカーボンシティ」を目指し、脱炭素社会に向けた取り組みを進めてまいります。
 具体的には、現在は燃やすごみとして収集し焼却処理を行っているプラスチックの資源化に向けて、区内の一部で分別収集を行い、区内全域での実施に向けた検証を行ってまいります。
 また、本区の区有施設における二酸化炭素排出量の約8割は、電気の使用に伴うことから、省電力型の照明整備の取り組みを加速化します。
 脱炭素社会への変革には、区民や事業者の皆様一人ひとりが、地球温暖化対策や温室効果ガスの排出削減への意識を高め、それに沿った行動が重要です。
 来年度は、環境基本計画の改定に着手するとともに、「ゼロカーボンシティ」の実現に向けた施策を推進し、住む人、働く人、訪れる人にとって魅力のある持続可能なまちを、未来へ継承してまいります。

令和4年度予算案について

 次に、令和4年度予算案について申し上げます。
 国は、令和4年度の経済見通しについて、民需主導の自律的な成長と「成長と分配の好循環」の実現に向けて、経済対策を迅速かつ着実に実施することなどにより、GDPはコロナ前の水準に回復すると見込んでいます。しかしながら、依然として景気の動向や感染症の状況は不透明であり、私は、区民生活に生じている様々な影響がこの先も続くことを、大変危惧しております。
 区の財政状況について、歳入では、特別区民税や特別区交付金の増を見込んでいますが、区民生活や景気動向は感染症の影響を受けることから、予断を許さない状況です。一方で、歳出では、子育て支援や高齢者・障害者へのサービス、低所得者への支援、災害対策の強化、区有施設の保全など、増大し続ける行政需要を抱えております。
 こうした状況にあっても、コロナ禍における新たな課題や社会経済状況への変化に積極的に対応し、「世界に輝く ひと まち たいとう」の実現を力強く推し進めていかなければなりません。
 そのため、不安を抱える子育て家庭や高齢者への支援をはじめとした区民生活を支える取り組みや、行政のデジタル化や脱炭素社会の実現に向けた取り組みなどの施策を推進してまいります。また、中・長期的な視点に立ち、持続可能な財政運営が推進できるよう、今後の区有施設の建設や大規模改修などを踏まえ、基金や起債の残高にも留意し、令和4年度予算を編成しました。
 それでは、ウィズコロナの時代における今後の区政の考え方の4つの柱に基づく主な取り組みについて申し上げます。

区民の生命と健康を守り抜く

 まず、「区民の生命と健康を守り抜く」ための取り組みについて申し上げます。
 年明け以降、オミクロン株の急速な感染拡大により、国内の感染者数は昨年夏の第5波のピークを大きく上回り、過去最多を記録しました。第5波に比べて重症化率は低くなっていますが、感染の急拡大を受け、2月8日時点で都内における病床使用率は55%を超えており、医療提供体制に大きな影響が及んでおります。
 本区では、入院病床や宿泊療養施設のひっ迫による自宅療養者の増加に対応するため、かかりつけ医等による電話での健康観察を行うなど、医療機関、薬局、訪問看護事業所と連携した医療支援体制を構築しています。自宅での療養を余儀なくされることとなっても、安心して療養できるよう引き続き取り組んでまいります。
 地域医療の中核を担う永寿総合病院に対しては、感染拡大時においても医療提供体制を維持できるよう、安定的な運営に向けた支援を行ってまいりました。中核病院として、更なる機能強化に向け、HCU(高度治療室)の増床にかかる改修経費の補助について、本日提出した補正予算に計上させていただきました。
 今後の更なる危機に備えて、これまでの経験をもとに、新型コロナウイルス感染症への対応やリスク管理に万全を期してまいります。
 コロナ禍において、特に重症化リスクが高い高齢者や基礎疾患を抱える方などは、運動などの身体活動の減少に加え、交流機会が減ることで、フレイルリスクの高まりが懸念されています。そのため、引き続き、自宅などからでも参加できるオンラインによる介護予防講座の取り組みを推進するとともに、通いの場などの住民主体の活動を支援してまいります。
 また、人流の抑制は、家族の間のコミュニケーションにも影響を与えています。行動制限がかかる時期であっても、コミュニケーションが円滑に行えるよう、家族と離れて暮らす高齢者の世帯などを対象に、テレビ電話機能を備えたコミュニケーションロボットの購入費用の一部を助成します。
 制約のある日常生活が長期化することで、不安やストレスが増大し、家庭内や養介護施設における虐待事例が増加傾向にあります。そこで、虐待防止アドバイザーの専門的な知見による個別事例の分析を踏まえ、区民及び養介護施設従事者などに実効性のある指導・助言を行うとともに、虐待通報について、新たに24時間メールで受付するなど、対応策の充実を図ってまいります。
 がん患者の方々は、治療や入院の費用による経済的な負担に加え、治療に伴う外見の変化などにより心理的にも大きな負担を抱えています。そこで、医療用ウィッグ及び胸部補正具の購入費助成を実施することで、前向きな療養生活が送られるよう支援してまいります。

区民の生活や事業者をしっかり支える

 次に、「区民の生活や事業者をしっかり支える」ための取り組みについて申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症の長期化は、子供や子育て世帯にも深刻な影響を与えており、更なる支援の拡充や負担軽減が必要です。
 こうした状況を踏まえ、ショートステイの対象年齢を18歳未満に拡大するとともに、新たに緊急ショートステイを実施します。また、いっとき保育の対象年齢を6か月以上の0歳児まで引き下げるなど、子育て支援を充実してまいります。
 さらに、医療的ケア児の成長を地域で支えるため、受け入れ体制を整えた児童発達支援事業所に対し運営費を助成し、安定的な運営を支援してまいります。今後も、施設整備を促進するための助成制度により、受け入れ環境の更なる充実を図ってまいります。
 教育分野においては、学校の臨時休業などを要する事態においても、「学びを止めない学校教育」の確立に向け、一人1台のタブレット端末を整備しました。こうした環境を活用し、ICT教育の更なる推進を図るため、ICT支援員によるサポートを充実させ、教員のスキル向上につなげてまいります。また、来月策定予定の「台東区学校教育情報化推進計画」に基づき、学習活動時のICTを活用する割合を高めることや、情報モラル教育などを通じて、情報活用能力の育成に取り組んでまいります。
 産業分野においては、地域経済の中核を担う中小企業を取り巻く状況が厳しさを増していることから、事業者の資金繰りを支えるため、「台東区経営持続化特別資金」及び「新型コロナウイルス感染症対策借換特別資金」について、受付期間を令和4年9月まで延長します。また、区内事業者のニーズに応じた相談体制の見直しを図り、きめ細かな相談支援に取り組んでまいります。

社会変革を捉えた行政運営の推進と財政基盤の強化

 次に、「社会変革を捉えた行政運営の推進と財政基盤の強化」に向けた取り組みについて申し上げます。
 本区の業務においては、RPAやAI-OCRを活用した自動化や、テレワークの導入など、ICTを効果的に活用し、業務の効率化や働き方改革を進めてまいりました。今後も、限られた人材と財源の中で、多様化する区民ニーズに迅速かつ的確に対応するためには、業務の効率化をより一層進めていく必要があります。
 そこで、全庁的に業務の進め方を調査し、業務の自動化の検討や手順の見直し、類似業務の整理などに取り組んでまいります。
 また、デジタル庁が中心となり進めている、地方公共団体の情報システムの標準化・共通化は、人的・財政的な負担の軽減と、行政運営の効率化及びサービスの向上を目的としており、本区も円滑に移行できるよう準備を進めてまいります。
 区民の皆様に安心して公共施設を利用していただくためには、建物の安全性および機能性を維持し長寿命化を図るとともに、適切な時期に必要な改修を行うことが重要です。
 新型コロナウイルス感染症により、社会情勢が大きく変化していることなどから、現在検討中の今後のファシリティーマネジメントの考え方と合わせて、「台東区公共施設保全計画」の見直しを進めてまいります。

まちの活力を取り戻し、持続的な発展につなげる

 次に、「まちの活力を取り戻し、持続的な発展につなげる」取り組みについて申し上げます。
 感染拡大の波が繰り返される中で、移動やイベントに関する規制が続いており、長引くコロナ禍で根付いた不安な気持ちを払しょくすることは容易ではありません。
 区ではまず、感染症から地域住民はもとより、事業者や来訪者を守るため、感染拡大防止策に取り組んできました。その上で、マイクロツーリズムの視点を踏まえ、本区の独自性を活かした旅行パッケージの企画や、事業者をつなぐマッチング商談会の開催など、観光事業者を支援する取り組みを積極的に進めています。
 今後の旅行需要の本格的な回復に向けて、旅行代理店を対象にした区内ホテル・旅館などの見学や、ホテル・コンシェルジュなどを対象にした文化体験ツアーを実施し、区内の多様な観光産業をアピールすることで、更なる観光需要の創出を図ってまいります。また、旅行会社の専門的な知見を活かし、新たな旅行商品の企画・造成を通じて、本区の魅力を発信してまいります。
 今後も、区内関係団体と連携して、区民生活と調和した文化・観光の振興に向け取り組んでいくとともに、本区の多彩で粋な文化と豊かな観光資源を適切に保全し、次の世代へと受け継いでまいります。
 コロナ禍を契機としてデジタル化が加速する中で、「デジタル・トランスフォーメーション」の重要性が高まっており、また、世界的な課題であるSDGsの達成に向けた取り組みも求められています。
 そこで、社会変革に対応する中小企業を支援するため、ECサイトやキャッシュレス決済の導入に係る経費の一部を助成します。また、新たな市場の開拓や新製品・新技術の開発を引き続き支援し、その内容がSDGsの達成に向け優れた取り組みである場合には、上乗せして助成を行います。
 さらに、新たな経済活動の創出と地域の活性化を図るため、特色あるビジネスモデルへの取り組みや、地域の賑わいに繋がる活動を行う多種多様な事業者のネットワークを支援します。
 社会の変容に対し、多様な価値やサービスを提供する事業者の皆様を、引き続き支援してまいります。
 以上が、区政運営における4つの柱に基づく主な取り組みです。

災害対策について

 次に、災害対策について申し上げます。
 本区はこれまで、高齢者や障害者など、災害時の避難行動や避難所での生活が困難となる方に対し、個別支援計画の作成を進めてきました。避難の際には、一人ひとりの状態に応じたきめ細かな支援が必要であるため、区内の関係事業所の協力を得ながら引き続き作成を進めてまいります。
 また、大規模災害から区民の生命と財産を守るため、災害が発生した際に応急対応を行う人的・物的支援について、姉妹・友好都市や連携都市、民間団体などと協定を結んでいます。昨年12月には、「東京都と区市町村間の災害時等協力協定」を、来月には、区内の3つの消防署と「災害時における罹災証明発行に関する協定」を締結し、迅速かつ的確な災害対応を実施する体制を更に強化します。
 今後も、台東区地域防災計画を踏まえ、地震災害や風水害の予防対策、応急・復旧対策及び復興対策の充実を図ることで、「災害に強い台東区」の実現に向けて取り組みを推進してまいります。

おわりに

 最後に申し上げます。
 昨年6月、上野動物園で双子のジャイアントパンダ、「シャオシャオ」と「レイレイ」が誕生し、不安や緊張が続くコロナ禍で、私たちに明るい話題を提供してくれました。今年はさらに、ジャイアントパンダが来園してから50周年を迎えます。この節目の年に、本区においても記念事業の実施に向け、検討してまいります。
 新型コロナウイルス感染症は、日々の暮らしを一変させ、新たな社会課題を私達に突き付けました。ポストコロナの未来を切り拓くため、区政運営の長期的指針である長期総合計画を修正し、社会経済状況の変化を的確に捉え、更なる発展に向けた道筋をお示ししてまいります。
 また、多様な主体が協働して実効性のあるまちづくりを進めるため、都市計画マスタープランに基づくまちづくり条例の制定に向け、令和4年度は、「(仮称)まちづくり誘導方針」を策定してまいります。
 「ひと」と「まち」が輝く明るい未来を築き上げるため、新型コロナウイルス感染症への対応に万全を期すとともに、コロナ禍で浮き彫りになった課題に迅速に対応し、各分野の施策を着実に推進してまいります。そして、区民の皆様、区議会の皆様とともに、新しい時代を切り拓くための歩みを進めてまいりたいと思いますので、ご理解とご協力をお願い申し上げ、私の所信といたします。
 なお、本定例会には、「令和4年度東京都台東区一般会計予算」ほか21件の議案を提出しています。よろしくご審議のうえ、いずれも可決賜りますようお願い申し上げます。

(注 本文は口述筆記ではないため、表現その他若干の相違があります。)


服部区長

お問い合わせ

企画課

電話:03-5246-1012

ファクス:03-5246-1019

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