平成18年度　したまちTAITO産業賞受賞企業

株式会社久月は、江戸時代、天保6年に創立され、百七十余年の歴史を持つ、日本を代表する人形の製造問屋です。商品開発においては、伝統を守りながらもオリジナル性豊かな人形づくりを行っており、平成17年11月には株式会社タカラ・トミーとのコラボレーションによる「リカちゃん雛」を製作・販売するなど、新しい感覚の商品は大いに注目されています。今年はさらに、衣装に江戸小紋、京友禅、大島紬などの伝統的な染物、織物を使った製品を展開し、伝統的な材料との融合を図りつつ、新しい分野にも積極的に取り組んでいます。また、日本の伝統文化の結晶である人形を継承し発展させるために「人形学院」を開講し、加えて、職人の保護育成のために平成17年9月に日本人形著作権協会の発足に尽力するなど、業界の発展にも大きく貢献しています。

株式会社田中旗店は、伝統的な織物製品である校旗、社旗などを製造販売する、この業界の老舗です。旗の製作に欠かせない伝統的な技術技法に強いこだわりを持ち、技術の継承と保護育成にも力を注いでいます。また、三代目となる現社長は、この伝統的技術を守りつつ、他方でコンピューターによる転写プリントなどの最新技術を導入し、広告宣伝用の旗や幟を製造販売するなど、時代を見据えた展開を積極的に行っています。さらに、多様化する顧客のニーズに的確に応えることができるよう、デザイン能力の強化と製品の出来上がりまでの一貫作業能力の強化に努め、経営革新を着実に実行しています。「旗・幟といえば東京浅草、蔵前」といわれるこの地で長い実績を誇る同社は、この業界のリーダー的存在です。

株式会社メンズ・サンエーは、紳士靴の企画デザインおよび製造卸を行っています。平成13年に現在の地、浅草に移転し、この頃から一般的なビジネスシューズから脱皮し、ビジネスとカジュアルを融合したオリジナリティあふれる革靴の企画開発に積極的に取り組んでいます。数々の自社ブランドを立ち上げ、なかでも「レッドカバー」はワイルドかつセクシーな商品展開でジーンズカジュアル系の店で人気が高く、売上高が前年度と比較して倍増となるなど、同社を代表するブランドとなっています。また、社内では社長自らが斬新なアイデアを生み、それをすぐに商品開発につなげるなど、まさに小回りを生かした経営により「先端商品をタイムリーに生み出す会社」として、業績を大きく伸ばしている企業です。

株式会社木馬は、世界各国を市場としてリボンやレース等を製造卸売する企業です。同社の扱う製品は、品質の面で全く妥協することがなく、常に最高のレベルを追求しています。また、デザインも極めて優れており、リボン、レース等の製造卸として国内屈指の地位を確立しています。販売に関しては、国内だけにとどまらず、ヨーロッパをはじめとする海外でも非常に高い評価を得ており、今では、有名デザイナーのデザインする洋服や靴などにも同社の製品が数多く使われています。その一方で区内の靴メーカーにも材料を提供するなど、区内の地場産業にも大きな存在になっていることも見逃せません。まさに台東区を拠点とし、世界に広く市場を展開する、真に国際的な企業となっています。