令和8年第1回区議会定例会区長所信表明
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更新日:2026年2月6日
はじめに
令和8年第1回区議会定例会の開会にあたり、私の区政運営に対する所信を述べ、区議会及び区民の皆様のご理解、ご協力を賜りたいと存じます。
今年は、国立西洋美術館を構成資産に含む「ル・コルビュジエの建築作品」が東京で初めての世界文化遺産に登録されてから10周年にあたります。皆様と分かち合った登録決定の瞬間の感動は、今も忘れることはありません。この節目の機会に、西洋美術館の建築的価値や設立に寄与した松方幸次郎氏の功績などについて、改めて積極的に情報発信するほか、記念式典の実施や記念誌の作成など、様々な取り組みを実施してまいります。
また、私が区長就任以来進めている「花の心プロジェクト」も、10周年を迎えます。これを記念し、区民が育てた花や緑の写真でモザイクアートを製作し、区有施設に展示するほか、庁舎正面を花で彩るなど、プロジェクトへの参加促進のための事業を展開するとともに、普及啓発に取り組んでまいります。
今後も「世界遺産のあるまち」、そして「心豊かでうるおいのあるまち」としての本区の魅力をさらに発信・継承してまいります。
さて、国は、経済の現状について、足元の景気は緩やかな回復局面にあるものの、食料品を中心とした物価高により個人消費や民間需要の力強さを欠く状況が続いていると分析しています。区においても、物価高や労働力不足などが、依然として区民生活や事業活動に影響を及ぼしていると認識をしています。
そこで、区では現在、全世帯を対象とする「食料品等高騰対応給付金」や、子育て世帯への「物価高対応子育て応援手当」の支給に向けて準備を進めています。加えて、保育所や介護・障害福祉サービス等事業者、公衆浴場、医療機関に対する支援を継続し、区民と事業者の負担軽減に向けて取り組んでいるところです。
さらに、未来を見据え、子育て世帯や高齢者世帯等を対象とした福祉サービスの拡充を図るとともに、区内産業の持続的成長のため、企業の経営基盤強化に向けた支援を充実させてまいります。
引き続き、社会経済状況などの変化を的確に把握し、機を捉えた対策を行うとともに、中長期的な視点に立って、必要な施策に取り組んでまいります。
「こどもまんなか社会」の実現について
それでは、まず、全ての子供や若者が幸せに暮らせる「こどもまんなか社会」の実現について申し上げます。
「こどもまんなか社会」の実現において、全ての子供の権利が守られることは最も基本的なことであります。そのため、権利の主体となる子供達の意見や思いを汲み取りながら、「こどもの権利条例」の制定に向けた検討を進めてまいります。また、子供の権利について意識を高めることも重要です。今後とも、あらゆる機会を捉えて、その普及啓発に努めてまいります。
素晴らしい文化や芸術に触れることは、子供の創造性や感性を育むことにつながります。そこで、豊かな人間性を育む機会を拡げるため、区内在住・在学の“高校生相当年齢まで”の子供の区立文化施設入館料を全日無料にします。
また、誰もが等しく教育を受けられる環境整備に向けて、新たに修学旅行等の宿泊事業費の支援を始めます。現在実施している給食食材費や補助教材費等の支援に加えて実施することで、義務教育にかかる費用の負担を軽減し、子育て世帯への更なる支援を図ります。また、民設こどもクラブの誘致や、放課後子供教室の時間延長校を拡大するなど、放課後の子供の居場所を充実します。さらに、一時預かり事業を統合し、利用要件を問わない「あずかりすくすくサポート」として新たに開始することで、区民の利便性の向上を図ります。
深刻さを増す少子化や個人の価値観の多様化など、子供を取り巻く環境は大きく変化しています。複雑化、複合化する課題に的確に対応するため、区の新たな組織として、「こども家庭部」を4月1日に設置します。子供・若者支援拠点機能をもつ「(仮称)北上野二丁目福祉施設」の開設も見据え、子供と家庭を支える体制をより一層強化し、「こどもまんなか社会」の実現に向け、取り組んでまいります。
北部地域のまちづくりについて
続いて、北部地域のまちづくりについて、申し上げます。
大河ドラマ「べらぼう」の放送終了に伴い、大河ドラマ館や江戸新吉原耕書堂も、先日惜しまれつつ閉館を迎えました。開館中には多くの方にお越しいただき、江戸文化の息づく本区の魅力に触れていただきました。引き続き、蔦重ゆかりのスポットをめぐる周遊企画や江戸文化に関する講演会などを実施し、浅草北部地域に広がった回遊性を持続させ、区全体へと波及させてまいります。
ドラマの舞台の一つでもある北部地域は、「人々が共生し住み働き続けられる便利なまち」として将来像を掲げ、空き家・空き店舗の活用など、リノベーション型まちづくりに取り組んでいます。
今後は、地域に関わりのある不動産業者や工事施工業者などを登録する「リノベーションパートナー制度」を創設し、物件所有者や出店希望事業者とつなぐことで、空き家・空き店舗の更なる活用促進を図ります。
また、物件所有者を対象とした貸出準備にかかる費用の助成や店舗等を開設しようとする事業者に対する、物件改修経費の助成を新たに開始します。
引き続き、賑わい・交流を創出する清川二丁目プロジェクトの推進とともに、北部地域全体の活性化を図ってまいります。
令和8年度予算案について
次に、令和8年度予算案について申し上げます。
区の財政状況について、歳入は、特別区税や特別区交付金の増額を見込んでいますが、国において更なる税源偏在是正に向けた地方税財政制度の見直しも検討されており、その影響には十分注意する必要があります。
一方、歳出では、物価高騰や賃金の上昇などが予算規模を押し上げているほか、子育て支援、高齢者・障害者へのサービスの充実、区有施設の保全など、様々な行政需要が増大しています。
このような状況において、本区が将来にわたり魅力あるまちであり続けられるよう、区民ニーズに即した施策展開と持続可能な行財政運営を重視した予算を編成しました。
それでは、予算案の主な事業について、長期総合計画の基本目標ごとに申し上げます。
あらゆる世代が生涯にわたって成長し輝くまちの実現について
まず、あらゆる世代が生涯にわたって成長し輝くまちの実現について申し上げます。
人生100年時代の到来やDXの急速な進展など社会の変化とともに、人々の意識や生活様式も変容しており、生涯を通じた学びに対する区民のニーズも多様化しています。時代に即した環境を構築し、効果的に事業を展開するため、11月に、生涯学習センターがより充実した機能を備えてリニューアルします。
オンライン講座や、デジタルデバイスを使った学習スタイルに対応できるよう、ICTを活用した学習環境を整備します。また、新たに1階アトリウムに交流スペースを設置し、区民の皆様が主体的に学び交流できる場を提供します。加えて、各フロアに展示スペースを設け、生涯学習活動の成果である絵画や写真等の発表・鑑賞の場を創出することで、学びと活動の循環を促進します。さらに、新たにスポーツコーナーを設置し、これまでのストレッチやヨガ教室に加え、障害者向けの教室を実施するなど、スポーツに親しむ環境の充実を図ります。
加えて中央図書館を12月にリニューアルします。区民の郷土史への興味と関心をさらに高めるため、郷土・資料調査室の企画展コーナーを拡充するほか、新たにアクティブラーニングルーム「学び場」を設置し、図書資料等を活用した10代の学習機会の充実を図ります。
「学び 活かし みんながつながる台東区」の理念のもと、生涯学習の総合的な拠点として、幅広いニーズに対応できるよう、リニューアルオープンに向け、着実に進めてまいります。
産後間もない時期における心と体の健康維持は親子関係の基盤となる大切なものです。そこで、産後うつ等の予防や乳児の疾病等の早期発見のため、産婦健康診査及び1か月児健康診査の公費負担を新たに開始します。さらに、5歳児健康診査を試行実施するなど、すべての乳幼児の健やかな成長を後押しし、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援体制を構築することで、保護者の安心につなげてまいります。
また、子育てに悩む保護者を対象に、その不安を解消し適切な親子関係を形成するための支援事業を新たに行います。講義やグループワークを通じ、児童の発達段階に応じた対応方法を学ぶとともに、同じ立場にある保護者同士が相互に悩みを共有できる場を設けます。
私は、保護者と子供への支援を様々な観点から展開することで、安心して子育てができ、すべての子供が健やかに成長できる環境づくりに全力で取り組んでまいります。
いつまでも健やかに自分らしく暮らせるまちの実現について
続いて、いつまでも健やかに自分らしく暮らせるまちの実現について、申し上げます。
少子高齢化の一層の進行や住民相互のつながりの希薄化等により、既存の制度や分野の枠を超えた複合的な課題が増加していることから、世代や属性を問わず、それぞれが自分らしく地域で生活を送るための支援が求められています。
こうした状況を踏まえ、包摂的な支援の仕組みづくりに取り組み、区役所への地域福祉コーディネーターの配置や、多機関協働による支援等を行ってまいりました。令和8年度からは、支援が必要である人と早期に出会い、つながるための取組みとして、地域の活動の場へのアウトリーチや誰もが気軽に立ち寄れる交流の場の整備に向けた検討を行ってまいります。
障害のある子供の身体的・精神的機能の適切な発達を促し、日常生活及び社会生活を円滑に営むため、児童発達支援は欠かせない支援です。そこで、区独自に障害児通所支援サービスの利用料を無償化することで、利用世帯の経済的負担を軽減し、安心して子育てができる環境を整えます。
さらに、自分らしく安心して人生の終焉を迎えるための「終活」に係る総合相談や、熱中症予防のための非課税世帯等へのエアコン購入費助成など、高齢者をはじめ区民一人ひとりが安心して地域で暮らすための取り組みも充実させてまいります。
生涯にわたる健やかな暮らしのためには、心の健康の維持と向上が欠かせない要素です。
そこで、身近な方の心の不調に気づき、適切に耳を傾けることができる「心のサポーター」を養成し、地域において心の健康を支え合う仕組みを作ります。
また、ウィッグや胸部補整具等の購入費を助成するアピアランスケア支援について、対象者をがん患者以外にも拡大するとともに対象品目を追加するなど、支援を必要とする方が安心して自分らしく社会生活を送ることができるよう、制度を拡充します。
活力にあふれ多彩な魅力が輝くまちの実現について
続いて、活力にあふれ多彩な魅力が輝くまちの実現について申し上げます。
本区への観光客数が大きく増加し、活況を呈している一方で、来街者のマナーや習慣の違いなどに起因する生活環境への影響についての声も、区民の皆様から多くいただいています。
区としては、これまでもごみ対策や混雑緩和対策、マナー啓発などに取り組んできたところです。今後も観光客の増加が見込まれる中、生活環境に近接した民泊の利用者増加等の背景も踏まえ、更なる対策の検討を進めてまいります。また、区民生活との調和の視点を取り入れた「(仮称)台東区観光振興方針」を新たに策定し、区の観光施策の方向性を打ち出してまいります。
区内中小企業の更なる成長を支援するため、国内外でテストマーケティングの機会を拡充します。国内では、関東近郊の主要駅で販売会を実施し、商品改良や販売戦略の立案等、経営力の向上を図ります。国外では、タイ・バンコクの客層の異なる商業施設等に販売会場を拡大し、海外市場への販路開拓チャレンジを後押ししてまいります。
誰もが誇りや憧れを抱く安全安心で快適なまちの実現について
続いて、誰もが誇りや憧れを抱く安全安心で快適なまちの実現について申し上げます。
大規模災害発生時において、トイレが使用できない場合には、被災者の感染症や健康被害の発生につながるおそれがあります。
そこで、誰もが災害時に安心してトイレを使用できるよう「台東区災害時トイレ確保・管理指針」を策定し、施策を展開してまいります。具体的な取り組みとして、災害時におけるトイレ備蓄の必要性について区民の意識を高めるため、携帯トイレを全戸配布します。また、被災状況に応じて、トイレが不足する地域に移動可能なトイレトラックを導入します。引き続き、災害時のトイレの確保と環境の質の向上を図ってまいります。
また、災害時に適切な判断と対応を行うためには、正確な情報を迅速に把握することが重要です。
そこで、避難所での生活が困難な人のための二次避難所と帰宅困難者のための一時滞在施設との情報連絡体制を確保するため、IP無線機を配備します。
さらに、防災ポータルサイトを新たに開設します。災害時に必要な区からのお知らせや避難所開設情報、警報・注意報などの発表状況をリアルタイムで発信することで、区民への確実な情報伝達を図ります。加えて、平常時から日頃の備えに関する情報も発信し、区民の防災意識の向上に繋げます。
次に、鶯谷駅周辺まちづくりについてです。多くの地域住民からご要望をいただいている北口のバリアフリールート等の整備について、JR東日本と協定を締結し、現在、調査を実施しています。今後、この調査結果を元に、駅のバリアフリー化を含めた駅周辺における基盤整備の検討を進めてまいります。また、引き続き鶯谷公園でのアーバンファーミング事業を通じてまちづくりへの機運醸成を図るなど、周辺住民や関係者とより一層連携しながら、鶯谷駅周辺のまちの将来像を描き、実現してまいります。
自転車は日々の暮らしを支える便利で親しみやすい移動手段として、多くの区民に利用されており、誰もが安心して利用できる環境整備が求められています。
そこで、「はしる」「とめる」「まもる」「つかう」の4つの基本方針を柱とした、「台東区自転車活用推進計画」を策定し、自転車通行空間の整備、駐輪環境の充実、ルール・マナーの啓発、シェアサイクルの推進など、多角的な視点から自転車の活用推進に取り組んでまいります。
多様な主体と連携した区政運営の推進について
続いて、多様な主体と連携した区政運営の推進について申し上げます。
転入・転出などの住民異動手続きにおける窓口での待ち時間は、自治体共通の課題となっています。そこで、住民記録データを元に申請書を作成する、「書かない窓口」の実現に向けた準備を進めています。内容確認と署名のみで申請手続きが完了するほか、バックヤードでの事務処理にはRPAを活用し、迅速に処理をすることで、窓口の待ち時間短縮につなげます。
加えて、マイナンバーカードを利用してコンビニで取得できる証明書の拡充にも取り組んでまいります。新たに戸籍証明書と税証明書を交付対象とすることで、利便性向上と窓口の混雑緩和を図ります。
また、国籍にかかわらず、誰もが自分らしく生きるための環境を整備することは、多文化共生社会の実現にとって重要な取り組みです。
そこで、生涯学習センターのリニューアルに合わせて、外国人を対象とした日常生活に関する困りごとを受ける多言語対応の相談窓口を設置するほか、新たに相談者・職員・通訳を含めた同時通話による電話相談を開始するなど、相談体制をより一層充実してまいります。加えて、情報コーナー及び交流コーナーを設置し、多文化共生のための拠点として整備してまいります。拠点を中心とした交流事業の展開や区民の活動支援を行うことで、日本人と外国人との相互理解を促進します。
また、社会情勢の変化を反映させた新たな「台東区多文化共生推進プラン」を策定し、言語や文化などの違いを相互に理解・尊重し、誰もが地域社会の一員として活躍できるよう、施策の展開を図ってまいります。
生成AIをはじめとする高度なデジタル技術は、生活や働き方に大きな変化をもたらしています。
このような技術活用による業務変革や、デジタル人材の育成を含めた、DX推進体制の強化などの視点を盛り込んだ、新たな「台東区DX推進計画」を策定し、着実に取り組みを進めることで、持続可能な区政運営を推進してまいります。
おわりに
最後に申し上げます。
今回策定する行政計画は、令和8年度から令和10年度までの3か年を計画期間としており、現行の長期総合計画の最終期にあたります。これを踏まえ、可能な限り前倒しでの目標達成に向け、スピード感を持って計画事業を推し進めます。
私は、目まぐるしく変化する社会経済状況と、それに伴い多様化するニーズに、引き続き的確に対応しながら、「世界に輝く ひと まち たいとう」の実現に向けて、全力で区政運営に邁進してまいります。区民の皆様、そして区議会の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げ、私の所信とさせていただきます。
なお、本定例会には「令和8年度東京都台東区一般会計予算」ほか35件の議案を提出しています。よろしくご審議のうえ、いずれも可決賜りますようお願い申し上げます。
(注 本文は口述筆記ではないため、表現その他若干の相違があります。)

服部区長
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企画課
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