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台東区池之端七軒町南遺跡出土埋葬関係資料 一括

ページID:597149925

更新日:2024年2月20日

台東区教育委員会
平成22年登載

 池之端七軒町南遺跡は台東区の西端、不忍池の北西側に位置する低地の遺跡です。本遺跡の北側には、やはり埋葬関係資料を有形文化財として登載している慶安寺跡や、町屋等を調査している池之端七軒町遺跡などが知られます。平成18~19年に、池之端2丁目1番に所在する、宗教法人大本東京本部の改築工事に伴い発掘調査をしました。江戸時代には当地周辺は寺院や町屋等が広がっていました。調査地は、近世寺院跡地であり、浄土宗心行寺あるいは臨済宗永昌院の境内地と推定されます。なお心行寺は当地にて寛文7年(1667)に建立しているようで、大正14年に移転しており、江戸六地蔵の4番目が安置されていたようです。今回の発掘調査では主に墓所が対象ですが、その下面は未調査となっています。遺構としては400基以上の墓のほか、井戸跡や排水用の「木樋もくひ」等が発見されています。埋葬は大半が土葬で、庶民用の「早桶はやおけ」が多く、ほかに方形木棺や甕棺・土器棺、更に火葬用の「蔵骨器」等が見られます。水気が多く桶などの木質が良好に残っていました。遺物としては多種多量の埋蔵関係品のほか、日常の陶磁器等が出土しています。
 埋葬関係品としては、墓石、埋葬容器、および副葬品、そのほか供養などの祭祀品等です。墓石等は登載の対象ではありませんが、江戸時代初期である元和7年(1621)の年代も見られました。副葬品としては、大半が銭貨と数珠で、古銭は主に「寛永通宝」、数珠は木製が主体ですが、種実やガラス製も見られます。木製品も多く出土しており、蒔絵まきえの小箱、漆塗りの柄杓、漆器椀、金箔の仏像や入れ歯など豊富です。他に中国製の薬瓶、土人形等が見られます。特に注目されるのは、墓の横から出土した「こけら経」です。屋根の「こけらき」に使用するような薄い板に経文を記したもので、長さ約50センチメートル、幅約3.5センチメートルになり、100枚以上あります。供養のために埋めたものと思われ、一枚毎に元禄3年(1690)の年号と供養対象者である女性の戒名、さらに経文を分割して記しています。「こけら経」は、江戸時代以前にはかなり見られ、多量の枚数が出土したりしますが、江戸時代の発見は稀であり、貴重な資料です。また他の副葬品なども良好に残り、台東区内の埋葬を考える上で重要です。


出土したこけら経の一部

お問い合わせ

生涯学習課文化財担当(生涯学習センター)

電話:03-5246-5828

ファクス:03-5246-5814

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